Column 262
2024/05/07 18:00
プリン体といえば、低プリン体ビールやプリン体ゼロのビールなどがあるため、多くの人が体に悪いものと思っていますが、プリン体は生物の細胞中に含まれる遺伝子の構成成分で、細胞の核に存在する核酸の主成分であるアデニンやグアニンなどとして存在し、私たちの生命活動にとって必要なものです1)。
プリン体は運動したり臓器を動かしたりするためのエネルギー物質です。私たちは日頃の食事を通してプリン体を摂取していますが、食事だけではなくプリン体の実に8割は体内で生成されているのです。主に肝臓で生成されますが、この8割の量というのは1日に約500mgです。
体内のプリン体は細胞の代謝・増殖などに利用されます。利用されなかったプリン体は尿酸として体外へ排出されます。生命活動に必要なプリン体ですが、過剰に摂取してしまうと血清尿酸値の上昇だけではなく、高尿酸血症や痛風発作リスクの上昇にもつながります。
高尿酸血症になると尿酸の結晶が関節内にでき易くなります。それを排除しようと白血球が攻撃をするとそこが炎症となって腫脹して痛みます。これが痛風発作です。風が吹いても痛むとは昔の人はよく言ったものです。プリン体は食品中の旨味成分なので痛風が別名「美食家病」と呼ばれたのも分かります。
ビールについて前に述べましたが、ビールには他の蒸留酒などに比べればプリン体が多く含まれています。アルコール100gあたりに含まれるプリン体の量は、ビールが5.7mg、日本酒1.5mg、ウイスキー0.1mg、焼酎0.1mgですが、アルコール自体が尿酸値を上昇させると言う問題もあります2)。
食品では、一見ヘルシーに見える、煮干し、鰹節、干し椎茸、レバー、丸ぼしイワシ、大正エビ、まあじ、などは100gあたりのプリン体が100mg~400mgと、含有量だけみればビールよりもはるかに高いプリン体の量なのです。高尿酸血症の原因は、食事や飲酒の影響が2~3割、体質的な影響が7~8割とされています。
ちなみに、プッチン・プリンの「プリン」は英語のPuddingが訛ったもので、お菓子のプリンにはプリン体は含まれていません。
引用・参考文献
1)https://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/laboratory/report/pa-3/01/
2)https://www.riveret.jp/blog/tips/beer-purine
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