Column 261

2024/04/30 18:00

バスを待つふたり

妊娠

映画

老化

認知症

短編映画「バスを待つふたり」をご紹介します。バス停のベンチにお腹の大きな妊婦と老人が並んで座ってバスを待っています。

（お腹をさすっています）

大丈夫かい？

ええ。

あとどれくらいなの？

え？

出産までどれくらいなのか…あ、いえ、失礼。

5ケ月後が出産予定なの。

（安心したように笑って）もうすぐだね。

簡単にはいかないのよ。

心配なの？（笑って）でも、楽しみでしょう。

（にっこりと微笑む）

怖いの。

何に対して？

全てよ。本当に全て。

きっと、大丈夫だよ。

みんな、そうやって言うけど…そうじゃないとしたら？

でもほら、旦那さんとかが…。

（お腹をさすっています）

きっと乗り越えられるさ、みんな乗り越えていくのさ。

そうかな？

家族もいるでしょ？

複雑なの。

頼れないの？

私と父さんしかいなくて…。でも父さんは病気なの。だから…。

きっと大丈夫だよ。

（悲しそうにうなずいて、老人の方を見る）

そこへ赤いバスが到着しました。

さあ、このバスよ。

妊婦はバスに乗ろうとしますが、老人は座ったままです。妊婦は老人に手をさしのべて言います。

父さん、行こう？

老人は妊婦に手を引かれてバスに乗り込みます。これは他人事ではない深刻な問題ですね。

野崎雅裕野崎ウイメンズクリニック院長: 福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。