思春期外来でもご説明しましたが、月経痛がひどくて生活に支障をきたすような場合は月経困難症といいます。
正しい鎮痛薬の服用方法や低用量ピルを服用することによって、月経困難症の症状が軽減されます。
下記に当てはまる症状にチェックを入れてください。
消化器系
泌尿・生殖器系
2つ症状が当てはまった方は、
月経困難症の疑いがあります。
下記で当院での治療方法、電話番号について記載していますので、お気軽にご相談ください。
月経時の子宮内膜からでるプロスタグランディンが原因
子宮内膜からでるプロスタグランディン(炎症物質)によって、月経痛や下腹部痛、消化器症状などが起こります。
さらに、子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患があれば月経困難症を引き起こす原因にもなります。
鎮痛剤やピル、治療薬が効果的です
月経痛がひどい場合は「月経困難症」と診断されて、治療が必要になります。また、最近は月経困難症を起こす「子宮内膜症」も増えています。治療には、プロスタグランディンを抑える消炎鎮痛薬(NSAIDs)、子宮内膜を薄くするピル(OC、LEP)、子宮内膜症の治療薬などが効果的です。月経痛は我慢するものではありません。将来の子宮内膜症や不妊症につながる大事なサインです。月経痛で悩んでいる女性は一日も早い婦人科受診をお勧めします。
院長コラム88「生理痛がひどい」にも紹介しています。
子宮内膜症の場合
月経困難症を起こす病気の代表が子宮内膜症です。症状の代表的なものは「痛み」と「不妊」です。痛みの中でも月経痛は子宮内膜症の患者さんの約90%にみられます。この他、月経時以外にも腰痛や下腹痛、排便痛、性交痛などがみられます。こうした症状は20~30歳代の女性に多く発症し、加齢による女性ホルモンの減少を境におさまります。また、妊娠を希望する生殖年齢の女性では「不妊」が問題となります。妊娠の希望がある子宮内膜症患者さんの約30%に不妊があると考えられています。内診で圧痛があったり、超音波検査で卵巣にチョコレートのう胞などの病巣の有無を調べます。
痛みに対してはまず、鎮痛剤を使用します。効果が得られないときは低用量ピルを用います。視床下部ホルモンであるGnRHの拮抗薬や黄体ホルモン剤などが用いられることもあり、女性ホルモンの分泌を抑えたり直接病巣に作用させたりして症状を緩和させます。卵巣にチョコレートのう胞などの病巣がはっきりしている場合は、手術も念頭に置いて治療します。卵巣のチョコレートのう胞は長い年月を経ると癌化する可能性がありますので、長期にわたる経過観察が必要です。
院長コラム89「子宮内膜症」にも紹介しています。
適度な運動
月経の前には、骨盤まわりの血流がうっ滞(消化管の運動が止まること)します。
月経がはじまる1週間ほど前からジョギングやウォーキングなどの軽い運動を行うことが効果的だと考えられます。
痛み止め(鎮痛剤)の服用
鎮痛剤を選ぶ際は、痛みの原因となるプロスタグランディンに効果的な薬(プロスタグランディン合成阻止剤)を選びましょう。
このような鎮痛剤を服用する際のコツは早めに服用をすることです。痛みが激しくなってきてから服用するより早めに服用することでより効果が期待できます。
ピルの活用
月経困難症の原因は、排卵後の卵巣から分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)が原因であると言われています。ですので、プロゲステロンの分泌を抑えることが効果的な方法です。
ピルはとても簡単で効果的かつ、とても安全な方法です。