Column 236
2023/11/07 18:00
クラミジア菌は種類がたくさんありますが、性感染症を引き起こす種類は「クラミジア・トラコマティス」という病原菌だけです1)。主に性行為で感染し、プールや浴室、トイレなどが感染経路になるケースはありません。感染者との粘膜接触や分泌物を介して感染します。
日本における性感染症の中ではクラミジアが一番多いと報告されています。クラミジア感染は10年ほど前から急増しており、20代前半で性交経験のある女性の5人〜10人に1人はクラミジアに感染していることが予測されています。
性器だけではなく男性の場合は尿道、また男女問わず咽頭にも感染します。また、クラミジアの感染者はHIV(エイズウイルス)への感染リスクが3〜5倍に増加するため、早急な治療が必要です。
クラミジア性感染症の潜伏期間は1〜3週間程度で、潜伏期間中でも性行為によって感染を引き起こします。しかし、この段階で抗体検査を行なっても陽性反応は現れないため要注意です。そのため、子宮卵管造影検査を受ける場合には、直近のクラミジア感染の可能性も考えて予防的に抗生剤を投与する場合もあります。
女性の場合、自覚症状に乏しく、おりものの増加や不正出血、下腹部痛などがありますが、進行すると卵管炎や骨盤腹膜炎を起こし不妊症の原因となってから診断されることもあります。また、骨盤から上腹部まで炎症が起きると肝臓の周囲に炎症が起こり、上腹部痛で内科や外科で診断されることもあります。
クラミジアの診断は、近年は培養を行わずにクラミジア抗原の検出感度が非常に高いDNAプローブ法やPCR法が普及しています。腟分泌物の自己採取によるこれらの方法でも正確な結果を得られることができるため、早期の治療を行うことが可能になっています。
クラミジアの治療は、抗菌力の高い薬剤が使われており、3週間後に治癒確認をしてクラミジア陰性になれば治癒と判定します。ただし、パートナーと同時に治療しないと感染を繰り返しますので、注意が必要です。クラミジア、淋菌、梅毒、HIV4点セットの検査をお勧めします。
引用
1)https://www.ont-womens.com/chlamydia_infection/
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