Column 176
2022/09/13 18:00
太陽フレアという現象をご存知でしょうか。太陽の表面で起こる大規模な爆発のことで、大きいものでは吹き上がる炎が地球の直径を越えるような爆発もあります。爆発に伴ない、電波やX線のほかに電子や陽子などの電気をおびた素粒子が飛び出し、そうしたエネルギーが「太陽嵐」となって地球に到達します1)。
4月26日、総務省が太陽活動の観測や影響の予報を強化するために立ち上げた「宇宙天気の高度化のあり方に関する検討会」が、100年に一度の極端な宇宙天気現象、具体的には2週間にわたって大規模な太陽フレアが発生した場合にどのような被害が想定されるかについての報告書を発表しました。
それによると、太陽嵐の影響によって、人工衛星が故障して、GPSが狂ってカーナビが使えなくなったり、航空機の運行が出来なくなったり、携帯電話や防災無線が使えなくなるほか、磁気嵐の影響で変圧器が故障して電力供給にトラブルが発生するなど、我々の生活インフラの広い範囲において様々な問題が発生することが見込まれます。
実際に過去には各国で様々な障害が発生しています。1989年カナダで9時間の停電が発生し600万人に影響が出たり、1994年世界各国の人工衛星で通信障害が発生したり、2003年JAXAを含む人工衛星や惑星探査機に障害が起こり、2022年にはスペースX社が打ち上げた通信衛星49機のうち40機が磁気嵐の影響によって機能を喪失しています。
太陽の活動は約11年周期で活発化を繰り返しており、次のピークは2025年ごろに起こると見られています。このように差し迫った危機に対して、政府は2つの対策を挙げています。「警報の強化」と「宇宙天気予報の精度向上」です。
宇宙天気予報は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)がインターネットで公開しており、最近では5月3日の昼間に大きな太陽フレアが発生しています2)。
携帯やカーナビが使えなくなるのは困りますが、病気での手術や治療にも支障がでると大変なことになります。太陽あっての地球ですが、太陽が活発すぎるのも困ったものです。
引用
1)https://spectee.co.jp/report/solar_flare_2022/
2)https://swc.nict.go.jp/trend/flare.html
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