Column 174
2022/08/30 18:00
映画「夢」は1990年に公開された黒澤明監督の作品で、黒澤明監督自信が見た夢を題材にした8話からなるオムニバス形式の映画です1)。「日照り雨」「桃畑」「雪あらし」「トンネル」「鴉(からす)」「赤富士」「鬼哭(きこく)」「水車のある村」の8つの話から成ります。
この映画は、黒澤明を尊敬するスティーヴン・スピルバーグの協力で製作に入り、映画会社ワーナー・ブラザースによって世界配給されました。「夢」の英題は「Dreams」で、題名だけからすると「将来への夢」「私の夢・展望・ビジョン」などの想像をしてしまいますが、単純に「昨夜みた夢」の話です。
各エピソードの前に「こんな夢をみた」というテロップがあらわれます。全て日本の原風景を映した美しい画像で、日本人なら誰しも故郷への郷愁や古き良き日本を思い浮かべることと思います。「こんな夢をみた」という語り始めは、夏目漱石の「夢十夜」における各挿話の書き出しと同じです。
「日照り雨」には狐の嫁入りに遭遇してしまった少年、「桃畑」にはひな祭りの日にひな壇に並ぶ桃の木の霊たち、「雪あらし」では吹雪の雪山で遭難しかけた私の前に現れた美しい雪女、「トンネル」ではひとりだけ復員した陸軍将校、「鴉」ではゴッホのアルルの跳ね橋と中年の私、「赤富士」では炎に包まれた富士山から逃げ惑う私、「鬼哭」では放射能汚染された荒野を歩く私についてくる鬼、「水車のある村」では葬儀なのに華やかな祝祭として喜び祝う村人達が出てきます。
夢をみるのは「レム睡眠」の時が多いといわれています。睡眠には、身体は休んでいるのに脳や眼球は活発に活動している「レム睡眠」とそれ以外の「ノンレム睡眠」があります。レム睡眠は90分から120分の間隔で一晩に数回出現し次第に持続時間が長くなるため、朝方に鮮明でストーリー性のある夢を見ることが多いようです2)。
「夢」を見るならストーリー性のある楽しいものがいいですね。「夢」に「人」がつくと「儚い(はかない)」となります。美しい日本の原風景をご覧になりたかったら「夢」を観ることをおすすめします。
引用
1)https://ja.wikipedia.org/wiki/夢_(映画)
2)https://style.nikkei.com/article/DGXMZO83023620Q5A210C1000000/
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