Column 155
2022/05/10 18:00
「ファム・ファタール」とは、元来「男にとっての運命の女」という意味ですが、「男を破滅させる魔性の女」という意味で使われることが多いようです1)。魅惑的なという英語では、チャーミングがありますが、この言葉には魔法や呪いといった意味もあり、日本語でも「魅」の漢字は「魑魅魍魎」にも入っています。
男が国王や城主であった場合には、「傾国の美女」や「傾城(けいせい)の美女」ということになります2)。中国唐の時代に玄宗皇帝が寵愛しすぎて乱の原因となった楊貴妃や、中国殷の時代に紂王に寵愛されて酒池肉林の宴で有名な妲己(だっき)などは、絶世の美人であるとともに悪女の代名詞でもあります。
欧米では、新約聖書や福音書などに伝わる「サロメ」が有名なファム・ファタールで、1世紀頃の古代パレスチナに実在した女性です1)。サロメはイエスに洗礼を受けた洗礼者ヨハネの首を求めた人物としてキリスト教世界では古くから知られ、その異常性などから多くの芸術作品のモティーフになってきました3)。
アメリカの男性向け季刊誌GQ誌のフランス版に、「映画の中のファム・ファタール25人」が挙げられています1)。
ソフィー・マルソー、ニコール・キッドマン、ブリジット・バルドー、ジュリー・クリスティ、ジャクリーン・ビセット、ソフィア・ローレン、ミシェル・ファイファー、ナタリー・ポートマン、ブルック・シールズ、ロミー・シュナイダー、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジェーン・フォンダ、モニカ・ベルッチなどです。
フランス版の雑誌ですから、欧米人の女優ばかりですが、日本人女優なら一体誰が選ばれていたでしょうか。日本にも美しい女優はたくさんいますが、果たして「男を破滅させるような」「国が傾くような」「城が傾くような」美しい悪女というファム・ファタールは思いつきませんね。
なお、ファムファタールの関連用語としてハニー・トラップが挙げられていますが1)、男としていずれの被害にも遭いたくはないものです。
引用
1)https://ja.wikipedia.org/wiki/ファム・ファタール
2)https://ja.wikipedia.org/wiki/傾国の美女
3)https://ja.wikipedia.org/wiki/サロメ_(ヘロディアの娘)
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