鬼滅の刃

院長コラム

　鬼滅の刃は、主人公の少年が鬼にされた妹を人間に戻すために、剣士達と共に鬼と戦う物語です１）。その鬼のボスは平安時代に最初に鬼になってから1000年以上生きているモンスターですが、容姿端麗で美女にも変身し、ソフト帽に背広にネクタイといった雰囲気はマイケルジャクソンに似ているという話もあります２）。

　その鬼たちは、太陽の光によって焼け消滅してしまうために、夜に人間を襲います。鬼滅の刃では、相手の鬼のボスが平安時代に鬼になったという設定から、平安時代に人々が恐れた夜の闇の怖さが伝わってきます。百鬼夜行というのは平安時代から室町時代にかけて、夜の闇には鬼が出現するという説話が多く登場しました３）。

　百鬼夜行の鬼が登場する説話には、今昔物語集、宇治拾遺物語、大鏡、沙石集、諸国百物語など多くの記述がみられます。また、絵画作品にも百鬼夜行絵巻、付喪神絵巻、図画百鬼夜行など多くの鬼たちが描かれています。

　鬼たちは人間に恐れられてきましたが、日本には鬼でもない悪魔でもない、「怨霊」という存在が昔からあります。

日本三大怨霊って、知っていますか。都市伝説でもなく、日本古来から本当に恐れられてきた三大怨霊です。

　日本三大怨霊は、菅原道真、平将門、崇徳天皇、のことを指します４）。

菅原道真は今では学問の天神様と崇められていますが、京で彼を陥れた人々が次々に怪死・変死しました。平将門は斬首された首が遠く東の方角へ飛んで行ったとされ、現在でも東京メトロ大手町駅から徒歩３分の場所に供養するための石碑があります。崇徳天皇は、讃岐に配流（はいる）され、後白河院との確執で激しく怒り「日本国の大魔縁となり（後略）」と血書し、夜叉のような姿になり、後に天狗となったとされています。昭和天皇は1964年、香川県の崇徳天皇陵に勅使を遣わしています。

　鬼滅の刃で人間に襲いかかる鬼たちも、元は人間でした。三大怨霊となった三人も元は人間でした。鬼は人間の心の中に棲んでいるといいます。鬼滅の刃で倒さなくてはならないのは、自分の中にいる鬼かもしれません。

引用
1)https://ja.wikipedia.org/wiki/鬼滅の刃
2)https://facesandnemes.com/entertainment/comic/kimetunoyaiba
3)https://ja.wikipedia.org/wiki/百鬼夜行
4)https://thegate12.com/jp/article/351

この記事を書いた人

野崎雅裕野崎ウイメンズクリニック院長: 福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。

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