ひまわり

院長コラム

　見渡す限りに広がった一面のひまわり畑、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの共演、ヘンリー・マンシーニの甘く切ないテーマ曲に彩られた映画「ひまわり」１）は、ヴィットリオ・デ・シーカ監督、東西冷戦下の1970年に公開されたイタリア、フランス、ソビエト連邦、アメリカ合衆国の合作映画です。

涙あふれる悲しい愛の名作である「ひまわり」のファンは多く、恋愛映画の金字塔としてだけではなく、ひとつの愛の悲劇を通じて戦争の不条理さを訴えるこの作品は、人間ドラマであり、反戦映画の傑作２）としても高い評価を得ています。

　「ひまわり」は戦争によって引き裂かれた夫婦の行く末を悲哀たっぷりに描いた作品で、エンディングでの地平線にまで及ぶ画面一面のひまわり畑の映像が強く印象に残る映画です３）。2020年には「ひまわり」が公開されてから50周年にあたり、最新のデジタル技術で修復されて鮮やかに蘇ったレストア版が公開されました。

　あの有名なひまわり畑のシーンはソビエト連邦時代のウクライナで撮影されたものです。ソビエト連邦が1991年に崩壊した年にウクライナは独立しましたが、2022年2月24日ロシアは再びウクライナに侵攻しました。地平線まで延々と続くひまわり畑を踏みにじりながらロシアの戦車部隊が侵攻したのです。

ウクライナは紀元前10世紀ごろから騎馬民族のスキタイ人が住み４）、古代ギリシアやローマ帝国の影響を受け、キエフ大公国などを経て、ポーランド領、ロシア帝国やオーストリア帝国に併合されたり、ソビエト連邦に組み込まれたり、またクリミアをめぐるロシアとの攻防へと続いてきました。

ヨーロッパ有数の穀倉地帯であるウクライナの国土面積は日本の1.6倍です。

映画「ひまわり」では、「多くの兵士たちがこのひまわりの下に眠っている」というシーンが出てきます。画面一面に広がる圧倒的なひまわりの花を見ていると、軍靴に荒らされてきたウクライナの大地が叫んでいるような気がします。

引用
１）http://himawari-2020.com
２）https://bit.ly/3Km1DTa
３）https://ja.wikipedia.org/wiki/ひまわり_(1970年の映画)
４）https://ja.wikipedia.org/wiki/ウクライナ

この記事を書いた人

野崎雅裕野崎ウイメンズクリニック院長: 福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。

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