Column 164
2022/06/21 18:00
ノブレス・オブリージュとは「高貴なるものの義務」という意味のフランス語で、簡単にいうと「貴族の義務」ということです1)。
その起源は、イギリスの女優で著作家のファニー・ケンブルが「貴族が義務を負う(ノブレス・オブリージュ)のならば、王族はより多くの義務を負わなければならない」と書いたのが最初とされています。
この考えは古くからあり、古代ローマでは、貴族が道路の建設費用を負担することがありましたが、その代わりに建設した道路に自分の名前をつけることもありました。有名なアッピア街道は古代ローマ貴族のアッピウス・クラウディウス・カクエスによって建設されています。
21世紀の現在も貴族が存在するイキリスでは、上流階級にはノブレス・オブリージュの考えが求められています。第二次位世界大戦ではエリザベス2世がイギリス軍に従軍したり、フォークランド紛争にもアンドルー王子がイギリス軍に従軍しています。また、ウイリアム王子はホームレス支援事業のパトロンであり、自ら路上生活の体験もしています。
日本においても、第二次世界大戦前の皇族男子は日本軍の軍務に就くことになっていたり、皇族女子は日本赤十字社などの機関で貢献することが求められていました。日露戦争では、伏見宮博恭王が連合艦隊旗艦「三笠」分隊長として従軍し戦傷を負っています。
貴族がいないアメリカでも、セレブリティや名士がボランティア活動や多額の寄付をすることは一般的なことになっています。私が留学したアメリカの研究機関でも、病棟や図書館、いろいろな建物に寄付をした名士の名前がついていました。
日本では「ふるさと納税」の返礼品として様々な品が送ってきます。ノブレス・オブリージュとは趣旨は異なりますが、返礼品がなければノブレス・オブリージュに少しだけ近いような気がします。見返りを求めない貴族の心意気、「あらま欲しけれども、いと難し」です。
引用
1)https://ja.wikipedia.org/wiki/ノブレス・オブリージュ
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