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Column 148

2022/04/17 18:00

蘭奢待

院長コラム

 蘭奢待、「らんじゃたい」と読みます。東大寺正倉院に収蔵されている香木で、「天下一の名香」とされています1)。正倉院での本来の名は黄熟香(おうじゅくこう)といいます。「蘭・奢・待」というのは、その文字の中に「東・大・寺」の名を隠した「雅称」です。(雅称とは風雅な呼び方のこと)

 蘭奢待は、長さ156cm、直径約40cm、重量約12kgでいびつな材木のような形をしており、中は空洞になっています。インドシナ半島の山岳地帯で、木の幹に樹脂や精油が浸み込んだ「沈香(じんこう)」の一種であると推定されますが、正倉院に納められた経緯については不明です。

 正倉院展は奈良国立博物館にて毎年秋に行われますが、上野の東京国立博物館でも2019年秋に御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」が開催されて、正倉院宝物の一部が展示されました。コロナ禍の前で長蛇の列に並んで観覧しましたが、残念ながら蘭奢待は展示されていませんでした。

 蘭奢待には、50ヶ所ほど少しずつ切り取られた跡があります。時の為政者が「戴香」として切り取ったもので、足利義満、足利義政、織田信長、明治天皇のものが有名です。大河ドラマ「麒麟が来る」でも、信長が蘭奢待を切り取ることに対して、正親町天皇が眉をひそめるくだりがありました。それほどに貴重なものだったということです。

 想像ですが、蘭奢待からの香りは白檀の扇子のような香りなのでしょうか。わが国最古で最高級のアロマと言えるでしょう。時の為政者たちが、切り取り、切り取りして、正倉院756年建立以来2)、ついに消えてしまうことがなかったのは幸いでした。

引用

1)https://ja.wikipedia.org/wiki/蘭奢待
2)https://shosoin.kunaicho.go.jp/about/history/

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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