Column 258
2024/04/09 18:00
1914年に刊行された文部省唱歌「四季の雨」に、春夏秋冬・四季折々の雨の情景が歌われています1)。
降るとも見えじ春の雨
水に輪をかく波なくば
けぶるとばかり思わせて
降るとも見えじ春の雨
俄(にわ)かに過(す)ぐる
夏の雨
物干し竿に白露(しらつゆ)を
名残(なご)りとしばし走らせて
俄かに過ぐる夏の雨
おりおりそそぐ秋の雨
木の葉木の実を野に山に
色様々に染めなして
おりおりそそぐ秋の雨
聞くだに寒き、冬の雨
窓の小笹(おざさ)にさやさやと
更行(ふけゆ)く夜半(よわ)を
おとずれて
聞くだに寒き、冬の雨
春の雨は、霧吹きでけぶるように、街全体を潤していきます。
西洋のことわざに、「April showers bring may flowers(4月の雨が5月の花を咲かせる)」があります。日本では、花散らしの雨ですね。
俄かに過ぐる夏の雨とは、スコールのようなにわか雨でしょうか。近年では、線状降水帯という大雨をもたらす雨雲の帯が、夏に各地で洪水を引き起こすことが知られるようになってきました。
秋の雨は、夏の暑さを次第に冷ましていく印象ですが、秋雨前線による秋の長雨が有名です。そうして、厳しい冬がやってきます。
聞くだに寒き冬の雨は、本当に手足が凍えるような寒い雨です。こんなに寒いのなら、雪の方がまだ暖かいのではないかと思わせるのが、聞くだに寒き冬の雨です。
イタリアの歌手ジリオラ・チンクエッティは、「雨(ラ・ピオッジャ)」という曲の中で、雨なんか気にしない、あなた傘を捨てて、私は大丈夫、、、と歌っていました。
陽気なイタリアの雨は、日本ではどの四季の雨に近いでしょうか。
引用・参考文献
1)https://www.worldfolksong.com/songbook/japan/shikinoame.html
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