骨盤底筋

院長コラム

骨盤底筋

骨盤底筋トレーニング

　骨盤底筋とは骨盤の底部を覆うようにある骨盤底筋群のことです。この筋肉群は複数の筋肉の集合体で、浅層・中間層・深層と大きく３つに分かれています。骨盤底筋には肛門挙筋や肛門括約筋などが含まれ、健康的な暮らしを保つために重要な役割をもっています１）。

　女性の骨盤は上が大きく開いた花瓶のような形をしていますが、骨盤の底の部分には骨がなく、膀胱や子宮、大腸といった内臓は骨盤底筋によってハンモックのように下から支えられています。骨盤底筋は膣や肛門、尿道口を動かす時に使われ、力を入れたり緩めたりすることで便や尿を留めたり排出したりすることができます。

　骨盤底筋がゆるんでしまい十分に機能しなくなると、排泄時のコントロールがしにくくなります。また、骨盤底筋は腹筋などの他の筋肉ともに機能することで体幹を安定させています。これらの筋肉の下部にある骨盤底筋がゆるむと体幹が安定せず、姿勢が保ちにくくなります。

　骨盤底筋がゆるむ原因は様々ありますが、妊娠・出産、加齢、姿勢の悪さなどが原因と言われています。骨盤底筋に過剰な負荷がかかってしまうことで、筋肉が伸びてしまい緩みやすくなる可能性があります。骨盤底筋は手足の筋肉と同様にトレーニングをすることで鍛えることができます

　骨盤底筋トレーニングは、仰向けに寝て両膝を立てた姿勢で、5秒程度肛門、尿道、膣全体を締め陰部全体を引き上げる感じで締め、その後力を抜いてリラックスします。締める、力を抜く、を10回繰り返します。また、背中を壁にもたれかけて床に座り、仰向けの姿勢と同じように行います２）。

　同じような、締める、力を抜く、の繰り返しを椅子に深く座っても行います。また、腰の高さくらいのテーブルに両手をついて全体重を腕に乗せてテーブルにつきます。そこで、同じように、締める、力を抜く、の繰り返しを行います。

　骨盤底筋トレーニングを実施して1ヶ月で約30％、2ヶ月以上で60％に尿もれ症状の改善がみられています２）。

　継続的に行うことでさらに効果が高まるようです。

引用
１）https://tocochan.jp/products/pelvic-floor/
２）https://jp.lifree.com/ja/urine-leakage/training.html#:~:text=骨盤底筋の鍛え,で10回繰り返します%E3%80%82

野崎雅裕野崎ウイメンズクリニック院長: 福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。