Column 219
2023/07/11 18:00
米国には○○○ベルトと表現される地帯が多く存在します。
サンベルトというのは、米国南部から南西部の北緯37度より南の温暖な気候の地帯のことです。温暖で過ごしやすいため産業が発展し、多数の移民やアメリカ国内の寒冷な土地からの移住者も多く人口が増加しています1)。
サンベルトに対して、五大湖周辺から米国北東部にかけての地域はスノーベルトやフロストベルトといわれます。この地帯は、1970年代に鉄鋼業や自動車産業の衰退がみられ、産業の斜陽化や都市の空洞化、失業や犯罪の増加などマイナスのイメージが持たれています。
スノーベルトの一部にはラストベルトと呼ばれる地域があります。ラストというのは「錆びついた」という意味で、この地域の多くの産業が時代遅れの工場や技術に依存していることから、この呼び名が付けられました。トランプ前大統領がラストベルトの白人労働者層を引きつけた時によく耳にした言葉です。
トランプ前大統領といえばキリスト教福音派の熱狂的な集会を思い出しますが、米国の中西部から南東部にかけての広い地域で、熱心なキリスト教徒が多い地域をバイブルベルト(聖書地帯)と言います。社会的には保守的で、進化論を学校で教えることが州法で禁止されたことがあるなど聖書をめぐる論争の絶えない地域です。
バイブルベルトとは反対に米国の北西部の4州は宗教への関心が低く教会への出席率が低いことから、アンチャーチト(教会とは反対の)ベルトと呼ばれています。
また、アフリカ系アメリカ人の割合が高い、貧困、過疎、低い教育水準、低い健康対策、標準以下の住宅、高い犯罪と失業率などに特徴的な米国南部の広い範囲を示す地帯はブラックベルトと呼ばれています。
その他にも多くのベルト(地帯)があります。ライス(米)ベルト、コーン(とうもろこし)ベルト、コットン(綿花)ベルト、ウィート(小麦)ベルトなどは穀物の生産地帯です。変わり種として、ストローク(脳卒中)ベルトは脳卒中が米国平均よりはるかに高い南東部の11州からなるグループです。
日本にも太平洋ベルトというのがあります2)。これは茨城県から大分県までを結ぶ一連の工業地帯を指します。これは1960年の国民所得倍増計画策定のために太平洋沿岸地域全体を工業の中心とする太平洋ベルト地帯構想に基づいています。同じベルトでも日米の色合いが違って興味深いものがあります。
引用
1)https://www.businessinsider.jp/post-166915
2)https://ja.wikipedia.org/wiki/太平洋ベルト
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