Column 218
2023/07/04 18:00
「7月4日に生まれて」は、オリバー・ストーン監督によるベトナム戦争映画の傑作です。「プラトーン」「天と地」と合わせてオリバー・ストーンの「ベトナム戦争3部作」と呼ばれている本作は、ロン・コーヴィックの自伝的小説が原作で、ベトナム戦争の後遺症をテーマとしています1)。
アメリカ独立記念日の7月4日に生まれた愛国青年ロニー(トム・クルーズ)は海兵隊に志願してベトナムの戦場へと出征します。ベトナムの戦場では民間人を死なせてしまい、戦友を誤射して死なせたり、自分も銃弾を受けて下半身不随になってしまいます2)。
収用された傷病兵向けの病院は劣悪な環境で、国のために負傷した兵士への敬意はありません。故郷に帰るとベトナム戦争への反戦ムードが高まり、自身もPTSDの症状を抱え、戦場で国のために戦った末に障害を負ったことへの後悔を覚えるようになり、反戦運動家へとなって共和党政権と対峙します。
アメリカがベトナムへの軍事介入を開始したのは民主党のケネディ政権ですが、ベトナムからの完全撤退を行なったのは共和党のニクソン政権でした。この二大政党の政策や主張は正反対のようですが、対外戦争となれば犠牲になるのは戦場で戦うアメリカの兵士です。
監督のオリバー・ストーンは裕福な家庭に生まれ、名門イェール大学に進学したのですが、ベトナム戦争が始まると陸軍に入隊し、最も死傷率の高かった空挺部隊に所属、1年の兵役後に映画の道に入ったという変わり種です3)。
彼の代表作となった「プラトーン」は大ヒットし、第59回アカデミー賞作品賞、監督賞、編集賞、録音賞を受賞し、1986年でもっとも評価を受けた作品となりました。ハリウッドのトップディレクターとなったオリバー・ストーンが、「プラトーン」の2倍以上の製作費と大スター、トム・クルーズを得て、再度ベトナム戦争を題材にしたのが、映画「7月4日に生まれて」です。
引用
1)https://本の虫が僕の中に.com/7gatsu4ka/
2)https://eiga.com/movie/45225/
3)https://movie-review.net/born-on-the-fourth-of-july
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