ターミネーター

福岡　婦人科

院長コラム

　映画「ターミネーター」は、1984年ジェームズ・キャメロン監督のアメリカ映画で、アーノルド・シュワルツネッガーの当たり役となりました１）。シュワルツネッガー演ずる「ターミネーター」は超合金で出来たサイボーグの暗殺者で、主人公の母親を抹殺しに未来から過去にさかのぼってAIにより送り込まれます。

　ターミネーターは英語でTerminatorですが、Term（ターム）には、期限、期間、学期、任期、期日などの意味があります。それの動詞形がTerminate（ターミネイト）です。ターミネイトには、終わらせる、終結させる、終了させる、打ち切る、解雇する、などの意味があります。

　つまり、ターミネーターは「（命を）終わらせる人」「（人生を）終了させる者」という意味で、そこから「暗殺者」や「殺し屋」ということになります。英語の同義語には、「キラー」や「アサシン」などがありますが、免疫の用語にも「キラーT細胞」といってウイルスに感染した細胞やがん細胞を殺すT細胞があります。

　ところで、産婦人科では「Term（ターム）」は分娩予定日のことで、「Terminate（ターミネイト）」は妊娠を終了させること、つまりお産になるようにすることです。分娩予定日はEDC（Expected Date of Confinement）「期待された出産の日」とも言いますが、Confinementには監禁や幽閉という意味もあって、分娩や出産とは全く違うので言葉とは面白いものです。

　昔、私が大学病院で勤務していた頃に、アメリカで産婦人科医をやっていた先輩医師が帰国して一緒に当直していた時のことです。「もう予定日を１週間過ぎているね。そろそろターミネイトしないといけないね。」と言われたのを聞いて、「あぁ、ターミネイトというのは妊娠を終わらせることなんだなぁ」と納得したのを昨日のことのように思い出します。

　福岡市天神で産婦人科のクリニックを開業して12年になりますが、お産は扱っていませんので、現在はターミネーターをやめています。

引用
1）https://ja.wikipedia.org/wiki/ターミネーター_(映画)

この記事を書いた人

野崎雅裕野崎ウイメンズクリニック院長: 福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。

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