Column 156
2022/05/15 18:00
「シンギュラリティ」とは、「技術的特異点」という言葉の英語で、人工知能(AI)が技術的に進歩して人間の知能を大幅に凌駕する時点のことです1)。アメリカの発明家、実業家、未来学者であり思想家のレイ・カーツワイルによれば、シンギュラリティは2045年頃に到来するとの説が有力視されています2)。
シンギュラリティの問題は、2012年以降、AIに対するディープ・ラーニングの爆発的な普及を契機に広く議論されるようになりました。2016年以降には、ビジネスの世界でもAIに対するディープ・ラーニングの影響が本格的に現れ始めており、「2045年問題」とも呼ばれています。
シンギュラリティは、スマートフォンのような汎用人工知能やスーパーコンピューター「富嶽(フガク)」のような強い人工知能により、人間の知識増殖が可能になったときに起こるとされています。ひとたび、自律的に作動する優れたAIが創造されると、自動的にバージョンアップが繰り返されて、人間の想像力がおよばないほどに優れた知性(スーパー・インテリジェンス)が誕生するという仮説です。
レイ・カーツワイルは、自著「ポスト・ヒューマン誕生:コンピューターが人類の知性を越えるとき」において、AIの進化は指数関数的に「神の概念」へと向かっており、それがシンギュラリティをもたらすと述べています1)。また、彼はシンギュラリティがSFやファンタジーに似ていることを強調しています。
「コラム128:2001年宇宙の旅」でお話しした作者のアーサー・C・クラークは「十分に進んだテクノロジーは、魔法と区別がつかない」と言っています。こうした観点から、J・K・ローリングの「ハリー・ポッター」を考えてみると、「これからほんの数十年先に実在する世の中を結構まともに描いたものかもしれない」とカーツワイルは述べています。
確かに、携帯電話だったスマートフォンは、今や動画を宇宙ステーションに送ることも、音声入力も可能で、そのうちテレパシーのように入力して、空中のディスプレイにメッセージが映るというのも早く実現するかもしれませんね。
引用
1)https://ja.wikipedia.org/wiki/技術的特異点
2)https://ja.wikipedia.org/wiki/レイ・カーツワイル
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