Column 47
2020/02/01 18:00
2018年11月27日、中国南方科技大学の副教授が、遺伝子操作によりAIDSウイルス(HIVウイルス)に対する耐性をもった受精卵から双子の女児の出産に世界で初めて成功したと発表しました1)。「これはデザイナーベイビーである」として、倫理的に問題があると指摘する多くの外国人科学者達との質疑応答の様子がTVニュースにも取り上げられていました。
遺伝子操作により、特定の疾患にかかる確率を防いだり、遺伝子を選択して目や髪の色といった特定の身体的特徴を持つ子供の生まれる確率を上げるように設計された子どもをデザイナーベビーと言います1)。実際には、アメリカでは2013年9月24日、イギリスでは2015年2月24日承認されています1)。アメリカでは、カリフォルニア州の企業「23andMe」が「配偶子ドナー選別」という技術が特許を取得しています2)。
中国の科学者によるデザイナーベイビー誕生への猛烈な批判の中、ハーバード大学のIVF(体外受精)を専門とする医師・科学者のヴェルナー・ノイハウサー博士は、精子の中のDNAコードを変えるために、遺伝子編集ツールのクリスパー(CRISPR)を使い始めることを計画していると発表しました3)。将来アルツハイマー病を発症するリスクを非常に低く抑えたIVFベビーを作れるかどうかを示すのが目的とのことです。
医の倫理は「ヒポクラテスの誓い」に代表され現代まで受け継がれていますが、古代ギリシア時代には無かった生殖医療技術の出現により、将来の疾患を防御して人類を守る技術が、理想の人類を創りだす技術へと変貌すれば、自然の摂理が破壊されることになるかも知れません。
■引用・参考文献
1)https://ja.wikipedia.org/wiki/デザイナーベビー
2)https://matome.naver.jp/odai/2138245043275917301
3)https://medicalai.m3.com/news/181212-report-mittr?portalId=mailmag&mmp=EZ181220&mc.l=368798168&eml=a3b7ab982eabdc2583370a82e493141e
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