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Column 92

2021/10/03 19:00

卵の話

不妊治療

 産婦人科では内診といって、腟の中とお腹の上から子宮や卵巣の大きさや動きを診察します。その大きさは、正常の子宮を鶏卵大(ニワトリの卵の大きさ)、正常の卵巣を鳩卵大(ハトの卵の大きさ)などと表現します。通常より大きな子宮のサイズなら鵞卵大(ガチョウの卵の大きさ)といいますが、ガチョウの卵なんて普通は見かけませんので、私は患者さんにはテニスボールの大きさと説明しています。

 子宮の両側にある正常な卵巣はだいたい鳩卵大ですが、ハトの卵を見たことがない人のために、母指頭大(親指の頭くらいの大きさ)とも説明します。この卵巣の中にあるのが卵子ですが、月に1回排卵するとすれば、思春期から閉経までの30~40年で約400~500個の卵子が一生のうち排卵します。

 ところで、卵子の元になる原始卵胞は女性が胎児のうちにすでに出来ていて、6カ月の胎児の卵巣の中には700万個の卵があり、出生時には200万個に、思春期には30万個に、35歳になる頃には1~3万個に減少します。卵が減少するスピードは月に約1000個といわれています1)。この卵の減少に関わっているのが前回のコラムでお話ししたアポトーシスなのです。

Column91:アポトーシス

https://nozakiwomens.com/column/column91/

 排卵にいたる卵子は多くの原始卵胞とともに約375日前に選ばれています。この間に13回の月経があります2)。発育を開始した大部分の原始卵胞は360日を過ぎた頃には、数個を残してアポトーシスにより消滅しています。そして13回目の月経が終わった周期の中ごろに1個の卵子が卵胞から排出されます。これが「排卵」です。多くの卵子のアポトーシスを経てヒトが誕生します。

引用

1)https://sset-clinic.com/guide/ransi/index.html
2)https://ja.wikipedia.org/wiki/卵胞形成

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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