Column 87
2021/09/14 18:00
旧約聖書の創世記には、神は土のちりでアダムをつくり、アダムの肋骨からイブをつくった、とあります1)。つまり、男性の体の一部から女性がつくられたということです。男性優位だった古代ならではの発想かも知れませんが、最初に「おとこ」ありきで、「おんな」はその一部から「派生」したことになっています。
ところが、生物の世界ではメスからオスが派生していくことが一部で分かっていて、哺乳類では、Y染色体にあるSryという遺伝子を含むいくつかの遺伝子が性別の決定に重要で、それらが働くとオスになり、働かないとメスになることが明らかになっています2)。
生物が進化する過程において、メスからオスが派生して生まれる際の決定を行う重要な遺伝子が15年前に日本の研究者によって発見されています。東京大学の野崎久義先生の研究グループがボルボックスという藻類の精子から発見したオス特有の遺伝子がその遺伝子で、 2006年12月19日付けの米科学専門誌 Current Biology にて発表されました2)。
野崎久義先生は、そのオス特異的遺伝子をOTOKOGI(男気、侠気)遺伝子と名付けました。OTOKOGIという名前は、野崎久義先生が好きな任侠映画にちなんで命名されたそうです。その後、メス特有の遺伝子も発見して、HIBOTAN(緋牡丹)遺伝子と名付けられたそうです2)。アダムはイブが持っていた男気遺伝子によってつくられたのかも知れませんね。ちなみに、野崎久義先生は私と同じ姓ですが、姻戚関係はありません。
引用
1)https://www.churchofjesuschrist.org/study/scriptures/ot/gen/1?lang=jpn
2)https://www.brh.co.jp/publication/journal/024/ss_1.html
3)https://ja.wikipedia.org/wiki/侠遺伝子
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