Column 247
2024/01/23 18:00
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったために様々な障害が起こり、生活する上で支障が出ている状態を指します。認知症を起こす病気のうち最も多いのがアルツハイマー病などの変性疾患で、続いて多いのが脳血管性認知症です1)。
アルツハイマー病は、アミロイドβというタンパク質が脳の細胞に沈着していき、神経細胞に障害を与えるようになります。アミロイドβは若年の頃から神経細胞に沈着しますが、最初のうちは認知機能に支障は出ません。軽度認知障害(MCI)という状態を経た後に、認知症へと進行します2)。
軽度認知障害(MCI)は、加齢に伴う生理的な物忘れと病的な認知症との間に存在する認知症予備軍とも呼ばれるグレーゾーンのことで、認知症ではないものの加齢に伴う物忘れよりも悪い状態が続く状態を指します。MCIの状態が約5年ほど継続すると半数以上の人が認知症に移行すると言われています3)。
MCIの段階で適切な予防を行うことで認知症への移行を食い止めることができます。MCIの段階がどの程度かを調べるのがMCIスクリーニングです3)。これは、認知症の原因物質であるアミロイドβ(Aβ)の排除と弱毒化に関与する3種類のタンパク質を測定することでMCIのリスクを判定するものです。
その3種類のタンパク質とは、Aβを排出するApoA1(アポリポタンパク質)、Aβを排除する細胞に必須なC3(補体タンパク質)、Aβの毒性を防ぐTTR(トランスサイレチン)の3つです。これら3種類のタンパク質の量によって、MCIのリスク値がAからDまでの4段階に判定されます。
判定がAの場合、MCIのリスクはほぼありませんので、これまで通りの生活で良いことになります。Bはリスクは低め、Cになるとリスクは中等度で生活習慣の改善や健康管理が必要となります。判定がDであればMCIのリスクは高めであり、専門医での診察や治療が必要となります。
引用
1)https://www.mhlw.go.jp/seisaku/19.html
2)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2819840/
3)https://www.premedica.co.jp/wp-content/uploads/2018/11/MCIreport_202004.pdf
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