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Column 202

2023/03/14 18:00

レジオネラ症とは何?

院長コラム

 レジオネラ症とは、レジオネラ菌の吸引による急性細菌性感染症で、多くは肺炎をおこします。1976年米国フィラデルフィアでの在郷軍人会で大流行した肺炎の原因菌であったことから、在郷軍人(ザ・レジオン)病と呼ばれるようになりました1)。

 レジオネラ菌は広く自然界に分布し、河川や土壌などに存在しますが、実際にはクーラーの冷却水、温泉水、循環式浴槽水、給湯水などに侵入し、このエアロゾルを吸入することにより肺炎をおこします。

 温泉水を日常的に飲用する習慣のない我国では、温泉での感染はないと考えられていました。しかし1991年愛知県の温泉でレジオネラ肺炎が確認され、その後全国の温泉や温浴施設、家庭の24時間風呂などでの感染が知られるようになりました。

 この菌は細胞内に寄生するため、一般に繁用されている抗生物質は無効ですが、マクロライド系抗生剤は有効です。日本人の大好きな温泉ですが、温泉で感染する肺炎のあることも知っておくことが大切です。

 最近では広島県の日帰り温浴施設で40人の集団感染があり、1人が死亡しています。また、宮崎県日向市の温泉施設でもレジオネラ菌による集団感染が発生し、7人が死亡して大問題となりました。

 そして、わが福岡県でも二日市の老舗旅館でレジオネラ症が発生しました。1865年創業の老舗旅館には昭和天皇も宿泊したことがあり、非常に由緒ある温泉施設です。保健所による抜き打ち検査の結果、大浴場の湯から基準値の最大3700倍ものレジオネラ菌が検出されました。

 コロナ禍による経営苦もあったこととは思いますが、福岡県の条例で週1回以上は必要とされる湯の入れ替えを年2回の休館日にしか行っておらず、消毒用塩素の注入も怠っており、保健所には虚偽の報告をしていました。私の好きな温泉旅館だっただけに非常に残念です。

引用

1)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00393.html

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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