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Column 170

2022/08/02 18:00

幸せの4つのホルモン (その2)

院長コラム

「幸せだ」と感じるのは、ドーパミン、セロトニン、エンドルフィン、オキシトシンという4つのホルモンに起因します1)。それぞれのホルモンには、私たちがよい気分になるためのユニークな役割があります。

 セロトニン。セロトニンもドーパミンと同様に神経伝達物質で、脳内でセロトニンは私たちの感情を安定化させます。つまり、船を安定させるバラストのような働きをします。

 セロトニンが不足している人は、うつ病や不安症になりやすいと言われています。神経から分泌されたセロトニンは、作用するとすぐに分解されて再吸収されるので、分解されて再吸収されないようにする薬(SSRI)がうつ病の治療薬として最も多く使われています。

 うつ病では、セロトニンが増えるようにすることで症状が改善しますが、セロトニンが増えすぎることによる副作用がまれに起こります。これを「セロトニン症候群」といって、興奮するなどの精神症状、手足がピクピク動く神経・筋症状、発汗や発熱などの自律神経症状が見られることがあります2)。

 セロトニン症候群は、うつ病治療薬(SSRIなど)の服薬後数時間内に症状が現れることが多く、服薬を中止すれば症状は24時間以内に消えますが、ごくまれに、高熱が続き、腎不全や全身の血液が固まらなくなる重篤な合併症を起こして、命にかかわることもありますから注意が必要です。

 セロトニンが昼間の時間帯に脳内で合成が盛んになることを利用して、季節性情動障害や冬季うつ病の治療に、高照度の光を浴びる「光療法」が行われています3)。また、運動後に脳内のセロトニンが増えることから、運動も効果的です。さらに、トリプトファンを多く含む食品(牛乳、マグロ、鶏肉など)を摂取することで、脳内セロトニンの生成量を増やすことができます。

 セロトニンは薬ではなく、昼間の運動と食事から増やすことが大切です。

引用

1)https://www.m3.com/lifestyle/983066
2)https://www.pmda.go.jp/files/000240139.pdf
3)https://brightlight-store.ovtp.net/topics/nhkasaichi.html

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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