Column 165
2022/06/28 18:00
アメリカでは、現在「メリークリスマス」と言ってはダメで、「ハッピーホリデーズ」と言わなければならないそうです。と言うのも、クリスマスはキリスト教の宗教行事であって、同じ時期にユダヤ教のお祝い行事である「ハヌカ」やアフリカ系アメリカ人のお祝い行事である「クワンザ」が重なるからだからとか1)。
このように、言葉に人種、宗教、性別などの違いによる偏見や差別を連想させたりするものを使わないようにするという考え方を「ポリティカル・コレクトネス(略してPC)」といいます。社会の特定のグループに不快感や不利益を与えないように意図された言葉で「政治的妥当性」とも言われます2)。
1980年代に、多人種・多文化・多宗教・多思想のアメリカで始まったポリティカル・コレクトネスですが、例えばポリスマンとは言わずポリスオフィサー、ビジネスマンはビジネスパーソンと呼びかえるようになったのも、マン(男性)をつけて男性限定の職種のように表現しないようにする目的からです。
また、黒人ではなくアフリカ系アメリカ人、アメリカ先住民はインディアンではなくてネイティブ・アメリカンと表現するのもポリティカル・コレクトネスです。日本でも保母さんは保育士、看護婦は看護師、痴呆症という疾病も認知症となったのも同様の流れです。
日本では、表現だけではなく漢字の表記にも変化が表れました。例えば、「障害者」に含まれる「害」の文字が使われていることに不快感を感じるのを回避するために、2001年に東京都多摩市では「障碍者」あるいは「障がい者」と言う表現を最初に使いました。
アメリカでは民主党がポリティカル・コレクトネスに積極的ですが、「Father」「Mother」と呼ばずに「Parent」とするなど、最近のポリティカル・コレクトネスは行き過ぎであるという意見に賛成の人が、共和党支持者では83%、民主党支持者でも55%に達しています3)。
過ぎたるは、なお、及ばざるが如し、です。
引用
1)https://culturia.co.jp/column/2095.html
2)https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリティカル・コレクトネス
3)https://www.spf.org/jpus-insights/spf-america-monitor/spf-america-monitor-document-detail_8.html
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