Column 143
2022/03/29 18:00
ヒッチコック監督の「めまい(Vertigo)」というアメリカ映画を観たことがありますか。犯人を追う途中に同僚を死なせてしまったショックから、高所恐怖症による「めまい」に襲われるようになり、警察を辞めてしまった主人公が犯罪に巻き込まれていきます。
教会の鐘楼に駆け上がっていく女性に「めまい」のために追いつくことが出来ずに事件が起きます。ところが、最後には「めまい」を克服して鐘楼に登っていくことが出来て、事件の真相に迫ります。映画では高所恐怖症をどのようにして克服したのかというくだりは出て来ません。
高所恐怖症は特定の恐怖症の一つで、高い所(人によって程度の差がある)に登ると、安全な場所であっても下に落ちてしまうのではないかという不安が生じるものです2)。例えば、エレベーター、エスカレーター、ショッピングモールの上階などが怖くて、利用を避ける場合があります。
高い場所で本能的に危険を感じ怖がるのは、身を守るための正常な反応であり、単に高い場所が「苦手」な場合は「高所恐怖癖」といいます2)。真性の高所恐怖症では1メートルの高さでも動けなくなり、重度ではパニックになり嘔吐するといった症状がみられます。
そのため、高所恐怖症は日常生活においても影響を及ぼし、治療が必須とされる不安障害とされています。最近の治療では、バーチャルリアリティ(VR)を利用した暴露療法(VRエクスポージャー療法)の有効性も報告されています2)。
高いところは怖い、けれども行ってみたい、スリルを味わってみたい、という気持ちは誰にでもあります。ジェットコースターも乗れれば楽しいものですが、高所恐怖症の方には勧められません。
引用
1)https://bit.ly/3tBmgE8
2)https://bit.ly/34hRgR7
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