Column 51
2020/04/01 18:00
両手・両足を広げた人体図を見たことがある人は多いと思います。レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた人体図です。この図の原作はヴェネツィアのアカデミア美術館にあります1)。これは、古代ローマ時代の建築家ウィトルウィウスの建築論の記述をもとに、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた素描(ドローイング)です1)。
ウィトルウィウスは建築家ですが、神殿の建築は人体と同様に調和したものであるべきという理論だったそうです1)。この人体図は、ダ・ヴィンチがルネサンス期の芸術と科学の融和、さらに自身の解剖学の知識をもとに人体比率に強い関心を持っていたことを表していると言えます。
それでは、ウィトルウィウスが提唱した理論をダ・ヴィンチが視覚化したものとはどんなものだったでしょうか2)。顎から額、髪の生え際までの長さは身長の1/10で、広げた手の手首から中指の先までも同じ長さである。首、肩から髪の生え際までの長さは身長の1/6で、胸の中心から頭頂までの長さは身長の1/4である。
さらに続きます。顎先から小鼻までの長さは、小鼻から眉までの長さ、眉から髪の生え際までが、いずれも顔の長さの1/3となる。足の長さは身長の1/6、肘から指先までと胸幅は身長の1/4である。これらの他にも人体は対称的に均整がとれており、この対称性を用いて古代からの画家、彫刻家は後世まで賞賛される作品を創り出すことができた、と述べています。正に、理想の人体図です。
■引用・参考文献
1)https://ja.wikipedia.org/wiki/ウィトルウィウス的人体図
2)長尾重武「建築家レオナルド・ダ・ヴィンチ」P82、P189
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