Column 49
2020/03/01 18:00
医学部3年生のときに解剖学の授業で消化器官の講義がありました。第一解剖学の教授は山元寅男教授で明快かつ楽しい講義でした。現在は医学歴史館となって移築されましたが、旧解剖学講堂は木造の階段教室で、100人程度の学生が授業を受けていました。
山元教授からの質問に出席番号順に答えていきます。「消化器官の上から順に、最初はどこですか?」「食道です。」「食道の前に何かあるのではないかな?」「ああ、口です。」「口の前には何かあるだろう?」「歯です。」「その前には?」「くちびる、です。」「そうです。唇、Lips ですな。消化器官の最初はLips、唇から始まります。」
「それでは、唇の次は?」「歯、です。」「そう、歯、Teeth ですね。次は?」「舌、した、です。」「そう、舌、した、ではなく、ぜつ、Tongueですな。」順調に進んでいきます。学生は次の質問に備えて緊張していきます。「舌の次は?」「次は、食道です。」「ん?食道に行く前に何かないですか?」「こ、喉頭、です。」「喉頭の前に何かないですか?」
次の順番はO君です。何と、O君、コックリ、コックリ、居眠り中です。周りの悪友たちに揺り起こされました。山元教授が「O君、喉頭の前には何がありますか?」O君、眠りから覚めたばかりです。何の質問かも分からずにいると、周りの悪友たちが、笑いをこらえながら囁きます。「いんのう、答は、いんのう、です。」
山元教授、「ん?君の、いんのうは消化器官なのかね?」一同爆笑に包まれましたが、当のO君は狐につままれたような表情で、照れ笑いをしています。正解は「咽頭、いんとう」です。その後は、胃、から順調に、十二指腸、小腸、大腸、直腸、肛門と順調に進みました。唇から肛門までが消化器官です。
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