Column 44
2019/12/15 18:00
「認知症」という病名は、「認知障害」が正しいのではないかと常々思ってきました。「記憶障害」は「記憶症」、「視覚障害」は「視覚症」、「歩行障害」は「歩行症」とは言いませんね。認知能力が正常な人は、非認知症とでも呼ばれるのでしょうか。それとも「正常症」なのでしょうか。
以前は「老人性痴呆」という表現であったように記憶しています。「痴呆」という用語を廃止し、「認知症」という用語を使用することを提案したのは、厚生労働省の有識者会議だったようです1)。しかし、日本精神神経学会および日本神経学会は、現在でも「認知症(痴呆)」と書くことを公式見解としています1)。
産婦人科学会でも、「性分化異常」という表現は差別的なニュアンスがあることから「性分化疾患」へと変わりました2)。また、「子宮外妊娠」は以前より「異所性妊娠」と改められましたが、「子宮内外同時妊娠」は「正所異所同時妊娠」とされ2)、現場では未だ使いこなされていません。
「優性遺伝」「劣性遺伝」という用語は、メンデルの遺伝の法則で中学生の時にが習いますが、「優性/劣性」を「顕性/潜性」と言い換えることを日本遺伝学会が発表しましたが、日本人類遺伝学会はこれに異論を唱えています3)。「男性/女性」という言葉も他の表現に置き換わる日が来るのでしょうか。
■引用・参考文献
1)http://jams.med.or.jp/dic/136010139.pdf
2)http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=70/4/07004K001.pdf
3)https://www.m3.com/clinical/news/559530
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