Column 34
2018/12/16 20:30
2018年のノーベル医学生理学賞は、京都大学特別教授の本庶佑氏と米テキサス大学のジェームズ・アリソン教授に授与されました。本庶氏は、免疫反応にブレーキをかけるタンパク質を見つけ、画期的ながん治療薬の開発に道を開きました。1)がんは、手術療法、放射線療法、化学療法から免疫療法へとさらなる広がりが期待されるようになりました。
本庶氏らのグループは、1992年に「PD−1」という、活性化T細胞の表面に発現するタンパク質を発見。がん細胞は、このタンパク質を通じて、がん細胞を攻撃するT細胞の活性を低下させるのですが、免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)はこの部分を阻害することで、T細胞の働きが抑えられ免疫力が低下するのを防ぐ役割を果たします。
免疫チェックポイント阻害薬はオプジーボだけではありません。本庶氏と同時受賞したジェームズ・アリソン氏は「CTLA-4」というタンパク質を発見し、オプジーボと同様に現在幅広い治験が行われている免疫チェックポイント阻害薬「イピリムバブ(商品名:ヤーボイ)」の開発に貢献しています。
なお、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬は、現在のところは再発や転移があって手術できない例の生存率改善目的に使用される薬であり、切除可能ながんを診断された人が、「オプジーボだけで治す」ことはまずあり得ません。「切らずに治す」のは人類の夢でしたが、それでも夢にまた一歩近づいたことには違いありません。
■引用・参考文献
1)https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2018/10/20181001_01.html、2018年12月16日アクセス
2)https://www.businessinsider.jp/post-176915、2018年12月16日アクセス
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