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Column 292

2024/12/03 18:00

富士山はいつ噴火するのか

文化

歴史

自然災害

 富士山は歴史的に何度も噴火を繰り返しています。最後の噴火は今から300年以上前、江戸時代の宝永噴火(1707年)です。過去にさかのぼると、約5600年の間に少なくとも180回噴火したことが分かっており、またいつ噴火してもおかしくないと考えられています1)。

火山の噴火による危険な現象には、溶岩流、火砕流、噴石、降灰があります。溶岩流は非常に高温のマグマが地表を流れ下る現象です。火砕流は高温の火山灰、岩塊、火山ガスや水蒸気などが一体となって高速で斜面を流れ落ちる現象です。噴石は建物にも穴を開け、降灰は広範囲に影響を及ぼします。

火砕流は、1991年、雲仙・普賢岳の噴火による火砕流で、死者・行方不明者44人、建物被害2511棟などの被害を出しました2)。また2014年、長野県と岐阜県の県境にある御嶽山の噴火では、巨大な噴石が高速で登山者や山小屋を襲ったために、死者・行方不明者が63人となりました3)。

富士山の噴火の影響について、2019年に国の検討会がシミュレーションを行いました。宝永噴火と同規模の大噴火が発生して15日間続いたとの想定です。火口の位置や噴火の規模によっては、溶岩流は東名高速道路、新東名高速道路まで2時間、東海道新幹線まで5時間で到達する恐れがあります。

西南西の風が吹いた場合、降灰は東京都新宿区で10cm、三鷹市で15cm、相模原市で30cm積もるとの予想が出ています。この降灰によって、陸・空の交通機関の停止、停電、通信障害、断水などが広域で長時間にわたって発生し、人口の多い都市部では物資の流通が出来なくなるため、社会の機能麻痺が起こる可能性があります。

平安時代の歌人、西行法師が詠んだ歌に、「風になびく富士の煙の空に消えて行方も知らぬわが思ひかな」があります(コラム254)。忘れてならないのは、富士山は活火山ということです。

引用・参考文献

1)https://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/volcano/314/
2)https://www.qsr.mlit.go.jp/bousai/index_c11.html
3)https://ja.wikipedia.org/wiki/2014年の御嶽山噴火

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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