Column 252
2024/02/27 18:00
骨量は男女とも幼少期から増え続け、20歳ごろに最大となります。1)骨量の最大値は最大骨量、ピークボーンマスといいます。ピークボーンマスは子どものときに適度に運動し、バランスの良い食事を摂取することで、できる限り増やすことができます。反対に、運動不足や偏食、過度なダイエットなどでピークボーンマスは低くなってしまいます1)。
また、女性の場合は月経不順や無月経など、女性ホルモンであるエストロゲンが低い状態が続くと、ピークボーンマスが低くなります。さらに幼少期からのジャンプなどの運動は大切ですが、月経が止まるほどの激しいスポーツを続けるとピークボーンマスの低下や疲労骨折を起こす危険性があります。
女性の場合、20歳ごろに最大となったピークボーンマスは、健康的な日常生活を送っていれば、ほぼ40歳半ばまでは維持されます。その後は50歳の閉経前後から急激に減少します。これはエストロゲンが急激に減少するからです。一方で、男性の場合は加齢に伴いゆっくりと減少していきます。
エストロゲンは、思春期の乳房の発達や第二次性徴の発来を促し、妊娠・分娩の準備に関わっています。さらに、全身の臓器に働き、骨組織では古くなった骨を吸収して新しく骨を作るのにエストロゲンは重要な役割を果たしています。骨を吸収する破骨細胞を抑えて、骨を造る骨芽細胞を助けているのです。
男性は加齢により、女性は閉経と加齢により、ピークボーンマスから骨量が減っていきます。ピークボーンマスに達した20歳から44歳までの骨量の平均値を「若年成人平均値」、Young Adult Mean(YAM)といいます。骨量がYAMの80%未満は要注意、70%以下になると骨粗鬆症と判定されます。
加齢や閉経で骨量が減少するのを原発性骨粗鬆症といいますが、病気や薬が原因となって骨量が減少するものを続発性骨粗鬆症といいます。病気では糖尿病や慢性腎臓病(CKD)は特に骨折のリスクが高く、薬ではステロイドの使用で骨量が低下します。
この他に家族に骨粗鬆症にかかった人がいるかなどの遺伝性素因や生活習慣も骨粗鬆症の発症に影響を及ぼしています。骨粗鬆症に関わりのある生活習慣は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの摂取不足、運動不足、喫煙、アルコールの過剰摂取などがあります。
ピークボーンマスをなるべく高くするためには幼少期からの生活習慣がいかに大切なものであるかを、今一度考えてみるのも将来骨粗鬆症にならないようにする基本の「き」でしょうね。
引用・参考文献
1)https://honeken.jp/knowledge/cause-of-osteoporosis/
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