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Column 206

2023/04/11 18:00

治験

治験

 

 皆さんは治験って知っていますか。

 新しい薬は、「薬の候補」を動物で試験をしただけでは薬として使えるようにはなりません。それは、人と動物では体の仕組みが違うため、動物試験のデータをそのまま人に当てはめることはできないからです。

 そこで、「薬の候補」が実際に人の病気を治すのに役立つかどうかを調べる必要があります。人で効き目と安全性を調べる試験のことを「臨床試験」と言い、その中でも厚生労働省から薬として認めてもらうために行う臨床試験を「治験」と言います1)。

 治験では「薬の候補」を人に使うため、参加していただく方の人権や安全が最大限に守られなければなりません。また、科学的な方法で「薬の候補」の効果と安全性を調べる必要があります。その為、治験には「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」(GCP:Good Clinical Practice)という厳しいルールが定められています。

 「薬の候補」を開発した製薬会社も医療機関も、このGCPというルールに基づいて治験を行っています。患者さんは治験に関する説明を受けて、治験の内容をよく理解した上で、自由意思で治験への参加を決めていただきます。また、治験の途中で参加を取りやめることも自由です。

 治験の費用には国の定める制度が適用されています。すなわち、治験薬を使い始めてから使い終わるまでの期間に、患者さんが受けた検査(血液検査や尿検査、レントゲンや超音波検査などの画像診断)の費用と治験薬の費用や交通費などは、治験を依頼している製薬会社から支払われます。

 治験は複雑なルールに沿って行われますので、製薬会社と医療機関だけでは非常に時間がかかります。そこで、安全でスムーズな治験が行われるように、治験を行う現場には「治験コーディネーター」という専門職が活動しています。

 当院でも、「新しい子宮内膜症の治療薬」の治験を現在行なっています。興味のある方はいつでもご相談ください。

引用

1)https://utano.hosp.go.jp/section/research_01.html

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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