Column 282
2024/09/24 18:00
私が米国で勤務していた頃、当直明けの医師に「お疲れ様でした」と言ったら、「疲れてなんかいない! 」と憤慨した様子の返事がきました。英語圏では「お疲れ様」とか「ご苦労様」というニュアンスの言葉はあまり聞かれませんね。日本はお互いを「お疲れ様」と称えあうのが得意な国なのかも知れません。
2023年に日本人10万人を対象に実施した調査によると、実に78.5%の人が「疲れている」と答えたそうです1)。しかしながら、欧米では「疲れているのに働く」ことは「自己管理ができないだらしない行為」とみなされるため、「疲労」の科学的な研究は軽視されてきました。
「疲労とはなにか」(講談社ブルーバックス)の著者である近藤一博氏らは4種類の栄養成分に疲労回復の作用があることを発見しました。
その4種類の栄養成分とは次の4つです。
●ガンマ・オリザノール
米ぬかに含まれる成分で、高脂質血症や心身症に対する治療薬としても用いられます。疲労回復をうたった総合ビタミン剤にも配合されており、神経に対して痛みを軽減する効果が期待されているようです。
●ケルセチン
タマネギやリンゴなどに多く含まれる成分で、抗酸化作用や抗炎症作用があることから、サプリメントにも使用されています。
●アンセリン
アミノ酸が結合してできたイミダゾールジペプチドの一種で、疲れによるヘトヘト感を和らげる作用があります。マスやカツオの尾ヒレの筋肉や鶏の胸肉に多く含まれます。
●ベータ・アラニン
哺乳類の筋肉に含まれ、尿酸値を降下させる作用のあるアンセリンや抗酸化作用を持つカルノシンの分解によって生じる成分です。運動時間の持続やパフォーマンス向上などの作用があると言われています。
「お疲れ様でした」で済ますのではなく、本当に疲れたときには、これら4つの栄養成分を摂ることをおすすめします。
引用・参考文献
1)https://www.recovery.or.jp/research/3931
©️ Nozaki Women's Clinic Allrights Reserved.
Designed by HARUNO design.