Column 216
2023/06/20 18:00
パリのタクシー運転手シャルルは人生最大の危機を迎えていた。金なし、休みなし、免停寸前の無愛想なタクシー運転手が乗せたのは、終活に向かう92歳のマダム、マドレーヌ。彼女の依頼は人生を巡るパリ横断の“寄り道”だった。寄り道をする度、並外れたマドレーヌの過去が明かされていく1)。
無愛想な上にすぐカッとなるが、家族への熱い愛にあふれているタクシー運転手シャルルを演ずるのは、フランスを代表する大人気コメディアンのダニー·ブーン。「微笑むたびに人は若返る」などの言葉で人を魅了するマドレーヌにはフランスで最もキャリアの長いシャンソン歌手のリーヌ·ルノー。
92歳のマドレーヌを演ずるルノーは実年齢が94歳というから驚きです。ダニー·ブーンとリーヌ·ルノーは実生活でも親交が深く、ルノーは「ダニーは私の息子よ」と公言しています。ルノーは「これは私の遺言になる映画よ」と宣言しての出演となったそうです1)。
エッフェル塔、シャンゼリゼ通り、ノートルダム寺院、凱旋門、パルマンティエ大通り、洒落たビストロ、などなど、もう一人の主人公であるパリのエレガントな美しさに浸れる映像もこの映画の楽しみの一つになるでしょう。パリの街角、パリの青空、パリの夜景、躍動する大都市パリの魅力が迫ります。
人生の悲しみも喜びもパリで見つけたマドレーヌ。パリを離れ終活へ向かう彼女は、街角に停まる度、秘密をひとつずつ明かしていきます。そして、パリがうんざりする仕事場だったシャルルにとっては、マドレーヌとの時間がパリを再発見する予想外の時間となっていきます。
いつの間にかシャルルの仕事はタクシー運転手から、マダムの数奇な運命を解き明かす旅のドライバーへと変わっていきます。オープニングからラストまで「まさか」がぎっしり詰まった意外すぎる感動作です。
人生にとんでもないサプライズが乗り込んできた。2023年のコロナ禍明けにお勧めの仏映画です。
引用
1)https://movies.shochiku.co.jp/paristaxi/
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