Column 215
2023/06/13 18:00
NHKのBSドラマ「グレースの履歴」(第1話~第8話)を観ました。
“グレース”という愛車に乗って成田に向かった妻。そして、南仏で彼女を襲ったバス転落事故。遺品として残された妻の愛車のカーナビには、夫に内緒で日本各地を訪れていた旅の履歴が残されていた。妻の不貞を疑った夫、夫はその謎を解くため、カーナビの履歴をたどる旅に出る。 藤沢、松本、近江八幡、尾道、松山・・・ 美しい日本の原風景を名車でたどる夫の前に、次々と現れるかけがいのない人々との出会い。 妻が遺した疑惑のカーナビ履歴。果たしてそれは・・・1)。
妻(尾野真千子)が“グレース”と名付けた真っ赤なボディの2シータ・オープンカーは、往年の名車「ホンダS800(S8:愛称エスハチ)」でした。ホンダS800は、ホンダS500、ホンダS600に引き続き、Sシリーズの第3弾として1966年1月から1970年5月の間に生産されました2)。
この真っ赤なホンダS8は何と左ハンドルです。当時新進気鋭の自動車メーカーであったホンダの本田宗一郎氏が積極的に海外進出を行なっていたことがわかります。ドラマでは下諏訪に住む宇崎竜童扮する老メカニックが、昔この車を整備したことがあり、グレースと名付けられた由来を明かします。
この真っ赤なホンダS8を運転するのが夫(滝藤賢一)です。夫は運転免許を持たなかったので、このマニュアル・シフトのホンダS8を運転するために、教習所に通います。そして、初心者マークをつけた真っ赤なホンダS8は
美しい日本の原風景を、グリーンの街道を、海辺の道を走り抜けます。
それにしても、真っ赤なホンダS8は実に自然の景色に合います。山なみの緑の中を、青い海辺の街並みを抜けて、夕陽がまばゆい海岸通りを、そして稲穂たなびく田園風景の直線道路を、疾走していく国産オープン・スポーツカー、ホンダS8!
このドラマの脚本家は、真っ赤なホンダS8を見たときにストーリーの構想が浮かんだのではないかと思います。日本の車が個性的で魅力的であった時代、それは希望に満ちた時代でした。
引用
1)https://www.nhk.jp/p/ts/88ZGN5PJ1Q/
2)https://ja.wikipedia.org/wiki/ホンダ・S800
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