Column 196
2023/01/31 18:00
緊急避妊ピルは、モーニング・アフターピルあるいはアフターピルともいいます。避妊に失敗した性交後72時間以内に服用するタイプのレボノルゲストレルや、120時間以内に服用するタイプのエラワンなどがあります。日本で現在承認されているのは72時間以内に服用するレボノルゲストレルです。
英語のモーニング・アフターには二日酔い、(飲み過ぎや喧嘩の後の)後悔、重大なことをした次の日、などの意味があり、Morning after headache は二日酔いの頭痛というように使われます1)。モーニング・アフター・ピルはとくに朝に服用するピルという意味ではないようです。
世界で最初に緊急避妊ピルについての研究が発表されたのは1966年のことです2)。この研究では、現在の中用量ピルを性交後に40錠から100錠も服用してもらうことで避妊に成功したというものでした。現在の緊急避妊ピルは1錠で効果がありますから、科学の進歩には目を見張るものがあります。
日本では、現在のレボノルゲストレルによる緊急避妊法が2011年5月に緊急承認されました。それまでは、中用量ピルを2錠服用して、さらに12時間後に2錠服用するヤッペ法という方法が広く行われていましたが、全国で統一された方法や統一された医療費用がなく、効果も不十分でした。
レボノルゲストレルによる緊急避妊効果(妊娠阻止率)は、避妊に失敗した性交後24時間以内の服用で95%、24〜48時間以内の服用で85%、48〜72時間以内の服用で58%です2)。やはり、避妊に失敗したら出来るだけ早く緊急避妊ピルを服用すると効果があるようです。
当院では、レボノルゲストレルによる緊急避妊法をおこなっています。性交後72時間以内であれば、レボノルゲストレル1錠を院内で服用してもらいます。そうして2週間以内に月経が来たら避妊成功ですが、今後そのような失敗をすることがないように日頃からピルを服用するように勧めています。
引用
1)https://eow.alc.co.jp/search?q=%22morning+after%22
2)Post-coital oral contraception.Morris JM, Van Wagenen G. Caribb Med J. 1966;28(1-4):22-5.
3)https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/kinkyuhinin_shishin_H28.pdf
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