Column 198
2023/02/14 18:00
胃石とは食物成分や異物が胃の中で結石になったものをいいます1)。胃の中での化学的・物理的な変化によるもので、毛髪胃石、樹脂胃石、薬物胃石などの胃石があります。柿を大量に食べてできるタンニンを主成分とする柿胃石も胃石の一種です。柿の美味しい11月から12月に集中して発生することが特徴です。
柿胃石は、空腹時に大量の柿を食べたときに発症します。柿のタンニンが主成分の植物胃石です。この柿胃石は、胃の部分切除をした人や糖尿病による神経症などによって、胃内容の排出遅延がある場合にできやすいとされています。
柿胃石の症状は、上腹部痛、吐き気や嘔吐、腹部膨満などがありますが、症状が現れないこともあります。硬い柿胃石によって胃の粘膜が傷ついて、ビランや潰瘍になることもあります。胃から腸へ移動すると腸閉塞を起こすこともあります。
診察ですが、まず患者か家族に柿をどの程度食べたのかを聞くことから始まります。検査方法としては、腹部単純X線検査、腹部超音波検査などで、腫瘤病変として検出されます。腫瘍と間違われることもあるため、上部消化管内視鏡検査を行なって、植物性物質が認められれば柿胃石と診断されます。
柿のタンニンが主成分の胃石ですから、炭酸水素ナトリウム剤の服用で胃石を小さくすることができます。内視鏡検査時に胃洗浄を行なって柿胃石を溶かすことも可能です。また、内視鏡検査で柿胃石を砕くこともあります。腸まで移動して腸閉塞を起こしていれば腸を切開する手術が必要になります。
昔から、柿が赤くなると医者が青くなるといいます。柿は栄養豊富で健康に良いので病気になる人が減って、医者の仕事が減って医者が青くなるのです。
とは言うものの、美味しい柿でも、食べ過ぎには注意しましょう。
食べすぎない「意志」を持てば「石」ができずに「医師」も助かります。
引用
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