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Column 169

2022/07/26 18:00

幸せの4つのホルモン (その1)

院長コラム

「幸せだ」と感じるのは、ドーパミン、セロトニン、エンドルフィン、オキシトシンという4つのホルモンに起因します1)。それぞれのホルモンには、私たちがよい気分になるためのユニークな役割があります。

 ドーパミン。ドーパミンは神経伝達物質で、脳内で報酬を求める行動を促します。美味しいものを食べたり、オーガズムを感じたりすると、脳内にドーパミンが分泌されます。Psychology Today誌によると、ドーパミンが放出されると、快感や満足感が得られるのです。

 ドーパミンは、私たち人間を人間たらしめている重要な要素であり、私たち人間に「発見と成功への意欲」を与えてくれるのです。このドーパミンを増やすためには、良質な睡眠が大切です。さらに、加工食品やカフェインの摂取を控えて、種子、ナッツ、肉、魚、乳製品など「チロシン」を多く含む食品が良いとされています。マグネシウムの摂取や運動もドーパミンを増やします。

 このドーパミンを分泌する神経細胞が減少すると身体が動きにくくなりふるえが起こりやすくなります。動作が緩慢になったり、筋肉がこわばったり、姿勢を保持するのが困難になります。このドーパミンを分泌する神経細胞が減少する病気を「パーキンソン病」といって、難病に指定されています2)。

 パーキンソン病では、運動障害の他に便秘や頻尿、発汗、疲れやすさ、嗅覚の低下、立ちくらみ(起立性低血圧)、うつ状態、興味や意欲の低下などの症状が起こることもあり、非運動症状と呼んでいます。ドーパミンの低下により幸せの反対の症状がたくさん現れてきます。

 また、ドーパミンは、日常の救急医療や手術室でも多く使用されています。心原性ショックや出血性ショックで急性循環不全になった時に、腎臓の血流を増やして尿が出るようにしたり、他の強心剤や昇圧剤が使えない時に、ドーパミンが威力を発揮するのです。

 人間を幸せにしたり、病気から救ってくれるのがドーパミンなのです。

引用

1)https://www.m3.com/lifestyle/983066
2)https://www.nanbyou.or.jp/entry/169

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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