ヘルスケアカフェ#1
“人生100年時代” という言葉をよく耳にしますが、ちょうどその折り返し地点となるのが更年期。そして更年期をどのように過ごし、老年期へと年齢を重ねていけば良いのでしょうか。
今回は、タレントの山本カヨさんをゲストにお迎えし、カヨさんにぴったりの「華麗なる加齢」というテーマで、女性の心身の変化やそれらを前向きに捉えていくための心構えなどについて、当院の院長とお話しいただきます。
山本カヨ(やまもと かよ/タレント)
福岡市生まれ。中村学園短期大学卒業。学生時代はバスケットボールの国体代表として活躍。現在はKBCラジオ「藤堂和子の女性塾」に出演。母校の特別講師も務める。インターネットテレビ「バータービレッジ」代表。カラオケBarアデリータ大名を運営。
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− 早速ですが、カヨさんはもうすぐ還暦を迎えられるんですよね。おめでとうございます ! 更年期といわれる時期をどのように過ごされましたか ?
カヨ)
私は40代中盤ぐらいやったと思うんですけど、ある日、急に足とか足の裏が熱くなって、お布団から出して寝るようになって。もともと末端冷え性で、毎日お布団にくるまって寝ていたのに…『これってもしかして更年期なのかな?』と思ったのが最初の症状でした。でも、精神的な落ち込みはあんまり感じなかったかもしれない。
周りの友達から『将来に不安を感じる』という話を聞いたりしたけど、私はどっちかっていうと、先生を前にちょっと申し訳ないですけど、 “病は気から” っていう考え方がベースにあるので『気持ちの問題やない ? ! 』とか言って乗り越えてきたような気はします。
院長)
更年期を迎えて精神的に落ち込む人とそうでない人とは、本当に分かれます。落ち込む人はとことん落ち込みます。女性ホルモンというのは「活力のホルモン」だから、それが揺らぎ出してストンと落ちると、ガクっとやる気がなくなって落ち込んでしまうんです。更年期の特徴を説明する時に例えるのが 〈ムンクの「叫び」〉 という絵画です。その背景が夕暮れなのか何なのか、暗く気持ちの悪い色なんですが、あんな感じの気分になるんです。
カヨ)
そっか…閉経が基準で更年期が始まる、みたいに認識したらいいんですか ?
院長)
閉経はいつ来るかわからないでしょ。だから、女性ホルモンがたっぷり出てる30代から少し揺らぎが始まり、それが更年期のスタートと言えます。大体は40歳ぐらいなんですけどね。
カヨ)
私も足の裏が気になりだしたの、閉経前やったな。
院長)
変化が始まった時に『あれ ? 』って気付く人と気付かない人がいて、いよいよひどくなってから心療内科とか精神科に行く人も少なくありません。そこでの治療が上手くいかず、私のところに来た方には、まず女性ホルモンを処方します。もともとの原因はホルモンの揺らぎですから、そこでスカッっと良くなる。で、1か月後にどうだったかと聞いたら『うん、全然違いますね』と答えがきます。
カヨ)
じゃ、例えば若い子とかでちょっと生理不順だったり精神的に不安定な子って、まず精神科に行くより、婦人科に行った方がいい可能性もあるんですね。
院長)
大いにありますね。私は不登校の女の子の約8割以上は、これが原因なのではと思いますよ。生理前に女性ホルモンの分泌が少なくなる、それは更年期と一緒ですよね。PMS(:Premenstrual syndrome/プレメンストラル ・シンドローム)っていうんですけどね。生理痛がひどいだけでなく気分も落ち込むような症状です。
カヨ)
それは持って生まれた体質じゃなくて、女性ホルモンを補うことによって変えられるってことですか ?
院長)
そうですね。だから患者さんには『更年期って長いPMSなんです』って言うんですよ。
カヨ)
なるほど。それを若いうちから知っておくと、実際に更年期に入った時、あんまり激しい変化を感じず、ホルモンの波も柔らかくすることができますよね。私ね、自分の出産の時に専門家の先生から『生理が始まった段階で、女の子は何でも相談できる婦人科系のかかりつけ医がいた方がいいんだよ』って話をされたんですけど、あんまりピンと来なかったんです。
院長)
その先生のおっしゃる通りですね。
カヨ)
でも、今日知ることができたので、今からはもっとちゃんと発信していきたいと思います。生理痛がひどいとかも、女性ホルモンを取り入れることで変わるんですね ?
院長)
はい。人生の一時期だけを「更年期」と切り取るのではなく、PMSもその延長線上にあるってことです。調子のいい時は、みなさんわからないけど、ガーっと気分が落ちた時に『何かな ? 』と思うわけですよね。その時、実はホルモンバランスの波がグーっと落ちている。年代的にはちょうど子どもが思春期を迎えたり、親の介護が始まったり、会社とか仕事が忙しくなって…で、びっしょり汗をかいてると『何 ? ひとりで暑がって』と笑われて、どんどん孤立していくという話もあります。でも、原因がホルモンバランスの乱れということなら、解決は簡単です。
カヨ)
ホルモンってやっぱり筋肉とか神経とかみたいにわかりやすいものじゃないですよね。自分の中で精神的な変化を感じた時に『もしかしたらホルモンのせいかもしれない』と思えるようになったらいいってことですね。
− そんな更年期を健やかに過ごすことができれば、続く老年期へと穏やかに移っていけるようです。では、更年期を迎えた時、こんなことに気をつけておくといい、というアドバイスはありますか ?
院長)
女性ホルモンというのは「活力のホルモン」ですけど、保湿・保水・潤いのホルモンでもあります。皆さん、顔は一生懸命お手入れするけど、実はもう体の中では乾燥と萎縮が始まっているんです。早い人で30代後半、多くの人が40歳ごろから…そこで早めに女性ホルモンを補っておいてあげると、皮膚の乾燥と萎縮などを防げるんです。
カヨ)
ってことは、例えば私みたいに『更年期が終わり、閉経しました』となると、もう婦人科とはお付き合いが終わると思ってましたけど、ここからが本格的に先生にお世話になる時期なんですね。
院長)
そうです、そうです。
カヨ)
って、ここまで不調の話ばかりなので、1つステキなお話を。私の友達のお母さんが85歳で、3つ上の88歳の男性と『先は短いけれど、茶飲み友達くらいはほしいな』と仲良くなって、お二人とも高齢だから籍は入れないけど『もうあと数年だからいい ? 』って一緒に住み始められたそうなんです。
それで、この前90歳のお誕生日のお祝いに行ったら『一緒にお風呂入って、一緒に寝て、手を繋いでお散歩する』っておっしゃっていて。『お風呂入っててどっちかが死んでも、一緒に入っておけば、わかりやすいやん』とか『どっちかが転けたらいかんけんね』みたいに面白おかしく私たちに説明してくれるんですけど、聞いていると、スキンシップって大事なんだなぁって思いましたよ。
院長)
肌の触れ合いって、すごくいいみたいですよ。
カヨ)
そう、イキイキしてます。だから、それまでは息子に『ご飯食べよう』とかしょっちゅう電話してきてたのに、ピタっとなくなったらしくて。『彼氏ができて良かったね』とか言ってたら、お母さんがどんどんキレイになっているんですって。
その方と同じようにとは言わないけど、年を取っても『楽しく生きたい』とか『キレイになりたい』って前向きになるためには、やっぱりカウンセリングやお薬(=女性ホルモン)が必要ですか ?
院長)
薬も大切ですけど、気持ちも大切ですよね。私の患者さんで、70歳を過ぎているのに、そうは見えないと驚くぐらい若い人がいますよ。
カヨ)
そうなんですね…私の場合、もう性欲とか全然なくなってしまって、1人で生きるのが楽しいから『近寄らんで』みたいになってしまっているんですよね。女性ホルモンを注入したら、その “ときめき力” みたいなものは出てくるんですか ?
院長)
出てきますよ。女性ホルモンには4つ働きがあって、 “意欲” を上げる、 “気力” を上げる、 “食欲” も上がるけど “性欲” も上がるんです。僕は患者さんには性欲は伏せて話しますけどね。『先生、太りました ! 』『食べたあんたが悪い ! 』って、そんなやりとりもありますよ。
カヨ)
ワハハ ! ちなみに「女性ホルモン」というお薬があるんですか ?
院長)
「エストロゲン」という物質をそう呼んでいます。でも、実は若い女性の体内には男性ホルモンも結構あるんですよ。「テストステロン」という物質で、よく運動競技のドーピングテストの対象になるものです。パワーや筋肉がつき、性欲が上がる。もの凄い力を秘めた物質です。落ち込みがひどい人には、この「男性ホルモン」を打ってあげるんです。でも、2年に3回ぐらいですかね。あんまり打つと髭が濃くなったりしますから。
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