【骨盤底筋ケア編#4】骨盤底筋群の働きを良くするコツ3
骨盤底筋群の働きを良くするためには3つのコツがあります。
①筋肉が柔軟であること
②股関節の動きがスムーズであること
③しっかりと呼吸ができていること
1つ目は骨盤底筋ケア編#2で、2つ目は骨盤底筋ケア編#3でお伝えしました。今回は、3つ目の「しっかりと呼吸ができていること」について解説します。実は、骨盤底筋群の働きには横隔膜を使った呼吸がしっかりと行えているかどうかも大きく影響しています。
【呼吸のコントロール】骨盤底筋群と横隔膜の関係
骨盤底筋群と横隔膜は、体幹の安定性や呼吸機能において深く関わり合っており、両者はそれぞれ離れた位置にありますが、互いに連動して働いています。
横隔膜とは
横隔膜は、肋骨の下に傘のようにドーム状に広がっている筋肉です。息を吸うときに収縮して下方向へ押し下がり、胸腔を拡大し、空気を肺に取り込みやすくします。息を吐くときには、弛緩して上方向へと戻ります。
横隔膜は“上のドーム”として、骨盤底筋群は“下のドーム”として、腹腔をふたのように囲う位置関係にあります。
【呼吸のコントロール】呼吸をする時にお腹周りで起きていること
それでは、この2つの筋群がどのように連動しているのかをもう少し詳しく説明していきましょう。呼吸をする際のそれぞれの状態は、以下のように変化します。
- 息を吸うとき
横隔膜の動き:下に降りる
骨盤底筋の動き:伸張されるように下方へ動く
腹腔内の状態:内圧がやや高まる
- 息を吐くとき
横隔膜の動き:上に戻る
骨盤底筋群の動き:収縮しやすくなり上方へ引き上がる
腹腔内の状態:内圧が緩和する
それと同時に、体幹を安定させるための“腹圧”のコントロールも行われています。横隔膜が“上部のふた”、骨盤底筋群が“下部のふた”、腹横筋や多裂筋などのインナーマッスルが“胴体の壁”というようにシリンダー(円筒)状に腹腔を取り囲み、内部の圧を逃がさないように支えています。
安定した呼吸のリズムや正しい姿勢が保たれた状態では、それぞれの筋肉が適切に収縮・弛緩でき、体幹が安定するのです。
【呼吸のコントロール】横隔膜を動かしづらくする原因
普段、何気なく行っている呼吸が、筋肉の働きにも影響を及ぼしているというのは意外な事実だったでしょうか。続いては、横隔膜を使った呼吸を行えない具体的な原因を見ていきましょう。
- 肩こりがひどい
デスクワークなどで日常的に前屈みで座っている時間が長い人は、肩こりになりやすく呼吸も浅くなりがちです。
- 姿勢が悪い
猫背や内巻き肩などの姿勢になると、肋骨の動きが制限されます。横隔膜は、肋骨に付着しているため、肋骨の動きが悪いと呼吸がしにくくなります。
- ストレスを感じやすい
ストレスを感じると自律神経の中の交感神経が優位になり、筋肉の緊張が高まることで呼吸が浅くなります。また、リラックスすることが苦手で常にイライラしている人も呼吸が浅くなりがちです。
こうした原因を取り除き、横隔膜を使った呼吸を行えるようにすることで体幹が安定し、骨盤底筋群の働きも向上させることができます。
【呼吸のコントロール】横隔膜の機能をUPするエクササイズ
ここからは、安定した呼吸を手に入れるためのエクササイズをご紹介します。呼吸の要である横隔膜を十分に働かせるには、肋骨や肩甲骨の柔軟性が必要です。それぞれに効果的な方法をピックアップしました。
肋骨を動かすエクササイズ
猫と牛のポーズ(cat&cow)
四つ這いで背骨と肋骨を連動させ、背骨全体の可動性を高めるポーズです。肋骨や胸郭の動きをスムーズにするのに役立ちます。
- 床に四つ這い(肩の真下に手、股関節の真下に膝を置く)になります。
- カウポーズ(Cow):息を吸いながら背中を反らし、胸を前方に開きます。目線はやや斜め上へ。肋骨が前後・左右にも広がるのを感じます。
- キャットポーズ(Cat):息を吐きながら背中を丸め、肩甲骨まわりと肋骨を引き離すようにします。おへそを軽く背骨に引き寄せるイメージです。
- 呼吸に合わせて5~10回繰り返しましょう。
立位での体側伸ばし
体の横側をストレッチすると、肋骨の横方向の可動性が高まります。
- 足を肩幅に開いて立ち、背筋を伸ばします。
- 右手を天井方向へ伸ばし、左手は体の横に下ろしたまま、ゆっくり上体を左へ倒します。このとき、体側(右の脇腹から腰にかけて)の伸びを感じましょう。
- 息を吸うときに、右の肋骨がふくらむのをイメージするとより効果的です。数呼吸キープしたらゆっくり上体を起こします。
- 反対側も同様に行いましょう。
肩甲骨を動かすエクササイズ
肩甲骨のアップ&ダウン
- 背筋を伸ばして立つか座る。両腕は体の横に下ろします。
- 息を吸いながら、両肩を耳に近づけるイメージでゆっくりと肩甲骨をすくめるように持ち上げます。
- 息を吐きながら肩甲骨を下げ、首を長く保つように両肩を下ろします。
- 呼吸に合わせて10回ほど繰り返しましょう。
肩甲骨まわし
- 背筋を軽く伸ばして立つか椅子に座ります。
- 肩を前→上→後ろ→下へと大きく回すように動かします。
- 5~10回まわしたら、逆方向にも同じ回数行います。
- 呼吸は止めずに、ゆっくり吸ったり吐いたりしながら行いましょう。
【呼吸のコントロール】今日からできる呼吸法3選
横隔膜を使う準備ができたら、続けて行っていただきたいのが「呼吸法」です。普段は無意識に行っている呼吸ですが、からだの動きにフォーカスして意識的に行う練習をすると、正しい姿勢や筋肉の働きを取り戻すことができます。
肋骨を横に広げる呼吸
- 椅子に座る
椅子や床に座り、ストレッチしたい側の足を反対側の膝の上に置きます。
- ゆっくり吸う
鼻から息をゆっくり吸って、肋骨が横に広がるイメージで肋骨を開きます。肩が上がりすぎないよう注意しましょう。
- ゆっくり吐く
口または鼻から息を吐きます。リラックスしながら行うのが大切です。
- 繰り返す
5~10呼吸を目安に、心地よさを感じる範囲で続けます。
お腹と胸を意識する呼吸
- 椅子に座る
足の裏を床につけ、骨盤をまっすぐに立てます。片手は胸に、片手はお腹に当てます。
- ゆっくり吸う
鼻から息をゆっくり吸って、お腹と胸が同じ高さになるようなイメージで膨らまします。
- ゆっくり吐く
口または鼻から息を吐きます。リラックスしながら行うのが大切です。
- 繰り返す
5~10呼吸を目安に、心地よさを感じる範囲で続けます。
骨盤底筋群と横隔膜を連動させた呼吸
- 椅子に座る
足の裏を床につけ、骨盤をまっすぐに立てます。片手はお腹に、片手は骨盤底(股の下)に当てます。
- ゆっくり吸う
鼻から息をゆっくり吸って、お腹や骨盤底まで空気を届けるようなイメージで膨らまします。横隔膜と骨盤底筋群をゆっくりと下に動かすイメージをしましょう。うなイメージで膨らまします。
- ゆっくり吐く
口または鼻から息を吐きます。横隔膜と骨盤底筋群を引き上げるようなイメージをしましょう。
- 繰り返す
5~10呼吸を目安に、心地よさを感じる範囲で続けます。
骨盤底筋群の働きを良くする3つのコツをシリーズでお伝えしてきましたが、いかがだったでしょう?骨盤底筋群が働きにくい原因は、人によって違います。ご自身のからだをよく観察し、ぴったりの方法をセレクトして実践していただけたらと思います。始めるのは何歳からでも決して遅くありません!気になったその日から、ぜひトライしてみてくださいね。
1.Kathe Wallance.産後リハにおける腰部・骨盤へのアプローチ.丸善出版;2017.
2.Kari Bo,Bary Berghmans,Siv Morkved.et al.エビデンスに基づく骨盤底の理学療法-科学と臨床をつなぐ-原著第2版.医歯薬出版;2017.
3.Richard L.Drake,A.Wayne Vogl,Adam W.M.Mitchell,et al.グレイ解剖学アトラス原著第2版.エルゼビアジャパン株式会社;2015.
この記事を書いた人
漆川 沙弥香
LUTIS代表|理学療法士・医療科学修士
福岡市中央区の女性専門サロンLUTISの代表。理学療法士として20年以上のキャリアを持ち、国内の学術機関や海外の専門家から”女性の健康”に関する高等教育を受ける。サロンでは、「月経痛・PMS」「産後の腰痛・尿もれ」「更年期の尿もれ」など女性のライフステージに合わせた症状に対して施術やエクササイズを通したアプローチを行っている。大学院(医療科学修士課程)を修了し、現在も研究を続けるかたわら大学の講師や自社主催の専門家向け講座を実施している。
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