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ヘルスケアコラム

2024/12/01

【更年期ケア編#3】更年期に起こる筋肉・骨・関節の変化と予防エクササイズ

女性ホルモン

更年期

 更年期症状の代表例には、以下のようなものが挙げられます。①のぼせや発汗などの血管運動症状。②イライラや不安感などの精神症状。③生活の質を大きく低下させる尿もれ。

そこで、更年期ケア編♯1では更年期症状に対するセルフケア方法を、また更年期ケア編♯2では尿もれの原因と改善のためのエクササイズをお伝えしました。

しかしながら、更年期に起こる症状はこれだけではありません。関節のこわばりや肩こり、頭痛や筋力低下などといった身体症状も、実は更年期に起こりがちなものです。そこで今回は、筋肉・骨・関節に起こる変化についてお伝えします。

【更年期に気をつけたい変化】筋肉の変化

筋力の低下

筋力と女性ホルモンであるエストロゲンの関係は医学的にまだ未解明な部分もありますが、多くの女性が閉経とともに筋力の衰えを感じると思います。月経周期における研究1)では、エストロゲンの値が上昇する時期に大腿四頭筋の収縮力が最大になると報告されています。これは握力でも証明されており、手足の筋力がエストロゲンの影響を受けていることがわかります。

筋肉のこわばり

更年期になると、以前より肩こりがひどくなることがあります。一般的に、肩こりには姿勢が影響しますが、エストロゲンが低下する時期に肩こりが起こる(ひどくなる)場合には、更年期症状の可能性もあります。エストロゲンが低下することで自律神経が乱れ、血液循環が不良になるのです。血流が悪くなると、筋肉に酸素や栄養が行き渡らなくなり、老廃物や疲労物質などが滞ることで肩こりが起こると考えられています。

【更年期に気をつけたい変化】骨の変化

更年期におこる症状の一つに、骨粗鬆症があります。エストロゲンが低下することで骨量を維持する働きや、コラーゲンの合成を促進する働きが弱まるからです。骨が弱くなり、骨粗鬆症になることが考えられます。少し背中が丸くなってきたなと感じる場合には、その初期症状かもしれません。

【更年期に気をつけたい変化】関節の変化

エストロゲンの低下とともに起こる変化に関節のこわばりもあります。エストロゲンが減少すると、関節や腱の周囲にある滑膜の働きが低下したり、軟骨が作られにくくなったりするからです。*滑膜:関節の中にある潤滑油(関節液)を分泌したり軟骨への栄養を補給する組織

以下のような変化は、関節のこわばりの初期症状かもしれません。

  • かかとが痛くてうまく歩けない
  • 肩・手指・膝などの関節痛
  • 階段の上り下りがつらい
  • ヒールがはけなくなった

それでは、ここからは筋肉・骨・関節に起こる変化の予防になるようなエクササイズの例をご紹介します。

【更年期に試したい】筋肉のエクササイズ

肩こりや頭痛の予防エクササイズ

座った姿勢で背筋を伸ばします。肩が耳に近付くように肩を挙げます。次に、そこからストンと肩を下ろします。肩を挙げる際には息を吸い、肩を下ろす際には息を吐くように呼吸に合わせて行いましょう。気持ちいいと感じるくらいの強さがちょうど良いです。全部で10回行いましょう。

次に、肩を回します。肩が耳に近付くように肩を挙げたら、そのまま後ろに回します。次に肩を下ろして、最後に元の位置に戻します。肩が1周するようなイメージで、全部で10回行います。

これらを行うことで、肩まわりの血液循環が良くなり、少しポカポカした感じがしてくると思います。そのポカポカした感じが、筋肉がほぐれたサインです。めぐりが良くなって、冷えを予防する効果も期待できます。

手足の筋力UPエクササイズ

・スクワット運動
脚を肩幅より広めに開きます。そこからお尻を斜め後ろに下ろすように腰を落とします。お相撲さんが四股を踏むような姿勢でスクワットをします。お尻を下ろすタイミングで、両手を前に伸ばすとバランスがとりやすくなります。息を吐きながらお尻を下ろし、息を吸って元の姿勢に戻るとより効果的です。全部で10回行いましょう。

・踵あげ運動
内くるぶしの間が拳1個分になるように足を開きます。お尻の穴を少し引き締めた状態で、つむじが天井に向かって伸びるように踵をアップします。これを10回繰り返します。ふくらはぎに効いている感覚があればOKです。炊事の時、歯磨きの時、バスを待っている時など、立っている時にぜひトライしてみてください。

【更年期に試したい】骨・関節のエクササイズ


日常的に行える最適な運動はウォーキングです。踵からしっかりと着地し、よく腕を振って、はつらつと歩きましょう。しっかり着地するのを意識することで骨に振動が伝わり、刺激が入るため骨の強化に繋がります。気持ちいいスピードで歩くことでセロトニンも分泌され、精神的にもリフレッシュすることができます。

今回は、更年期に起こる筋肉・骨・関節の変化とその予防になるエクササイズについてお伝えしましたが、いかがだったでしょうか。日常的に無理なく取り入れられることから始めてみてください。

1.R.Sarwar, B.Beltran Niclos, O.M.Rutherford.Changes in muscle strength, relaxation rate and fatiguability during the human menstrual cycle. Journal of Physiology 1996,493(1) ,267-272.
2.日本産婦人科学会:産科婦人科用語集・用語解説集改定第4.日本産婦人科学会編,日本産科婦人科学会事務局,東京,2018.
3.武谷雄二:エストロゲンと女性のヘルスケア,MEDICAL VIEW2015
4.医療情報科学研究所.病気がみえるvol.9-婦人科・乳腺外科第3:メディックメディア;2015.
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この記事を書いた人

漆川 沙弥香

漆川 沙弥香

LUTIS代表|理学療法士・医療科学修士

福岡市中央区の女性専門サロンLUTISの代表。理学療法士として20年以上のキャリアを持ち、国内の学術機関や海外の専門家から”女性の健康”に関する高等教育を受ける。サロンでは、「月経痛・PMS」「産後の腰痛・尿もれ」「更年期の尿もれ」など女性のライフステージに合わせた症状に対して施術やエクササイズを通したアプローチを行っている。大学院(医療科学修士課程)を修了し、現在も研究を続けるかたわら大学の講師や自社主催の専門家向け講座を実施している。

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