Column 68
2020/12/15 18:00
プロラクチンは発育した乳腺に働いて乳汁分泌を促し維持する作用があり、別名「催乳ホルモン」や「乳腺刺激ホルモン」とも呼ばれています1)。魚類から哺乳類にいたるすべての脊椎動物でその存在が確認されていますが、ヒトの場合は脳下垂体の前葉から分泌されています。
プロラクチンは哺乳動物の乳腺の発育と乳汁産生を促進する他に、多くの作用が知られています。ネズミでは、卵巣の黄体を刺激して黄体ホルモンの分泌を促します。ハトではヒナのエサとなる「そのう乳」を作らせます。カエルでは、変態の抑制、成長促進などの作用を示します。ある種の魚では、皮膚の粘液を増やします1)。
プロラクチンは哺乳類、鳥類、魚類の哺育行動を誘起するといわれています1)。渡り鳥では渡りの衝動を引き起こす、イモリでは産卵期の水中への移動を促すなど、プロラクチンの生理作用は動物種により様々ですが、脊椎動物全般にわたり、体液のバランスに関係し重要な役割を果たしています1)。
ヒトではプロラクチンの分泌が完全ではないと乳汁分泌不全になりますが、プロラクチンが分泌過剰になると、排卵が抑制されて無月経・乳汁の漏れなどが起こります。プロラクチンは下垂体の腫瘍やある種の薬の副作用でも過剰になりますので、服用している薬のチェックや下垂体の検査が必要になります。
■引用・参考文献
1)https://kotobank.jp/word/プロラクチン-128177
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