Column 62
2020/09/15 18:00
りんご病とは、子供の両頬がリンゴのように赤くなる病気です。可愛らしい名前ですが妊娠中の女性には大敵です。原因はパルボウイルスB19と呼ばれるウイルスの感染で「伝染性紅斑」とも呼ばれています。りんご病は一度かかると一生涯の免疫を得ることができ、再度りんご病にかかることはないと考えられています1)。
りんご病は、生後半年から患者さんがみられるようになり、5歳前後をピークとして幼児期の子どもに流行する傾向がある病気です。流行が大きい年には季節変動性があり、6~7月頃にかけてピークがあります1)。特に2019年に入ってから前年同期の約9倍と流行が拡大しています2)。
健康な人が感染した場合は特別な合併症はなく、微熱や風邪症状が現れる程度で治癒することが多いのですが、時には、脳炎、脊髄炎、心筋炎、急性肝炎、溶血性貧血、関節炎などの合併症を起こすこともあります1)。また、妊娠中の女性がパルボウイルスB19に感染すると、赤ちゃんに重篤な影響(流産や胎児水腫、死産)を及ぼすことがあります。
りんご病を起こすパルボウイルスB19の抗ウイルス薬はありません。妊婦さんは流行時期には風邪症状の人には近づかないことが大事です。妊娠早期に感染すると、約20%に経胎盤感染が起こり、そのうち約10%が流産あるいは死産となると考えられています1)。万一りんご病に感染した場合には、注意深く胎児への影響を診察していく必要があります。
■引用・参考文献
1)https://medicalnote.jp/diseases/りんご病
2)産経新聞平成31年(2019年)1月23日(水)24面
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