Column 61
2020/09/01 18:00
狂犬病という病気を知っていますか。狂犬病ウイルスによる犬の伝染病ですが、このウイルスが中枢神経系を犯して、感染した犬は狂暴化して全身麻痺で死にます。感染した犬にかまれることで人や家畜も感染します。水を見るだけで呼吸困難になるところから恐水病とも呼ばれています。
この狂犬病の特徴は、狂犬病ウイルスが致死的な脳炎を起こすため発病すれば100%死亡する、発病する以前には狂犬病ウイルス感染を証明できる検査法がない、潜伏期が通常1~3か月と長く1年以上の例もある、ほとんどすべての哺乳動物が罹患し、地域によってウイルス伝播動物の種類が異なる、などです1)。
ところが、日本国内での狂犬病感染例は1957年以降、報告されていません。狂犬病予防法に基づく飼いイヌへの狂犬病ワクチン接種が十分に行われて、現行の検疫制度が維持されていれば、国内で狂犬病ウイルスに感染する可能性はほぼゼロと考えられます2)。
しかし、世界的にみれば狂犬病発生のない国はむしろ例外的であり、地球上には今なお毎年数千から数万人の狂犬病犠牲者が発生している地域があります。そして毎年多くの日本人がこれらの地域を訪れているのです。海外で狂犬病ウイルスに感染して帰国後に発病する輸入狂犬病は、今後も発生する可能性があるので、出国前のワクチン接種は必要です1)。
■引用・参考文献
1)https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/394-rabies-intro.html
2)https://kansensho.jp/sp/article.html?id=IF00000011&from_intermediate
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