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Column 60

2020/08/15 18:00

ヒートショック

全国で年間約1万4000人の方々が入浴中に亡くなると推測されていますが、その原因の多くはヒートショックであるといわれています1)。ヒートショックは、暖かい居間から寒い風呂場へ移動する時に、特に冬場の入浴時に多く発生します1)

日本では、浴室とトイレは家の北側にあることが多く、暖かい場所から気温の低い場所に移動すると、体から熱を奪われまいとして血管が縮み、血圧が上がります。お湯につかると血管が広がって急に血圧が下がり、血圧が何回も上がったり下がったり変動することになります。

血圧の変動は心臓に負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中の危険性を高めます。ヒートショックは65歳以上の高齢者、高血圧や糖尿病などの動脈硬化の基盤がある人、肥満や睡眠時無呼吸症候群、不整脈の人が影響を受けやすいといわれています2)。その他、浴室に暖房設備がない、一番風呂が好き、熱い風呂が好き、飲酒後の入浴、30分以上の入浴、などは危険です2)

ヒートショックを予防するポイントは、血圧が乱高下しないようにすることです。そのためには温度差をなるべくなくし、体に負担の少ない入浴方法を心がけることです。対策としては、脱衣所やトイレを暖める、入浴は40度未満のぬるめのお湯に入り、長湯を避ける、冷え込む深夜ではなく早めの時間に入浴する、などがあります。皆さんも気をつけましょう。

■引用・参考文献
1)http://www.kagoshima.med.or.jp/people/topic/2010/308.html
2)https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/heatshock/

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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