Column 326
2025/09/16 18:00
9月9日は重陽(ちょうよう)の節句です。節句とは季節の節目となる日ですが、重陽は五節句のひとつです。五節句とは、1月7日の人日(七草の節句)、3月3日の上巳(桃の節句)、5月5日の端午(菖蒲の節句)、7月7日の七夕、そして重陽の5つを指します。
コラム229で9月のことを長月という由来についてお話ししました。長月の異名として「菊月」「菊間月」「詠月」「季月」などがあります。そんな9月にあたる重陽の節句は、中国・香港・マカオ・ベトナム・台湾において伝統的な祝日で、日本では、菊が咲く季節であることから「菊の節句」とも呼ばれます。
アジア圏に息づく陰陽思想では、万物は陰陽のどちらかに分類されます。奇数は陽のグループに属する陽数と呼ばれ、その中でも一番大きな「九」が重なる日であることが「重陽」という言葉の由来です。奇数の重なる月日は陽の気が強すぎるため不吉とされ、それを払う行事として節句が行われていましたが、後に陽の重なりを吉祥とする考えに転じて祝い事となったようです1)。
重陽の節句には、長寿を願って菊の花びらを浸した菊花酒を飲む風習があります。これは3世紀ごろの中国で、神仙の飲み物として謳われた菊酒が、平安時代に日本に伝わったものです2)。
平安時代の宮中行事では、9月9日に貴族たちが菊の花を鑑賞して、天皇が菊の花を浸した酒を授ける「菊の宴」が開催されるようになります。その後、江戸時代には庶民にも広がって秋祭りでも菊花酒をいただくようになりました。
菊の花といえば、天皇家の家紋です。菊が好きであった後鳥羽上皇が制定しました。
「菊と刀」は、アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトの著作ですが、優雅で繊細な菊と厳しい武士道精神の二面性が日本文化の特徴だということを表現しています4)。
春に桜を楽しみ、秋には菊を愛でる、日本人として、いつも優雅な日々を送りたいものです。
引用・参考文献
1)https://ja.wikipedia.org/wiki/重陽
2)https://ja.wikipedia.org/wiki/菊酒
3)https://www.syokubunka.or.jp/publication/column/taisyoku/post_5.html
4)https://ja.wikipedia.org/wiki/菊と刀
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