Column 323
2025/07/29 18:00
近年、海洋プラスチックごみが生態系に与える影響について国際的に関心が高まっています。なかでも特に問題視されるのがマイクロプラスチックです。
マイクロプラスチックとは、歯磨き粉や洗顔剤に含まれるビーズなどの小さなプラスチック、またはレジ袋やペットボトルといったプラスチックごみ等が、紫外線や波によって5mm以下まで細かくなったものを指します。そして、さらに小さい直径1~1000ナノメートルのものをナノプラスチックと呼びます。これらマイクロおよびナノプラスチックは、その小ささゆえに回収は困難と言われています1)。
マイクロおよびナノプラスチックの問題点は、分解されないために半永久的に自然界に残ることです。海洋生物が餌と間違えて食べることで内臓を傷つけたり、腸閉塞を起こして死んでしまう場合があります。また、食物連鎖で取り込まれたマイクロおよびナノプラスチックが人体に悪影響を及ぼすおそれもあります。
人体への悪影響については科学的に未解明の部分が多いのですが、医学誌Nature Medicineに掲載された研究では、マイクロおよびナノプラスチックは人間の肝臓、腎臓、肺、血管、骨髄、胎盤から見つかっていますが、それよりも高い濃度で脳に蓄積されることが判明しています2)。
また、2024年の海水からのサンプルでは2016年のサンプルと比べてマイクロおよびナノプラスチックの濃度が大幅に高くなっており、認知症と診断された人の脳内ではさらに高濃度だったということです。脳には血液脳関門というフィルター機構があるのですが、これらの微少なプラスチックはこれを通過して脳に侵入することが分かってきました。
プラスチックは私たちの生活にとって今や当たり前の存在になっています。しかしながらその歴史は浅く、1860年代にアメリカの印刷工によってセルロイド(ニトロセルロース)が発明されたことから始まります3)。その後、プラスチックのさらなる発明が続き、現代のプラスチック製品へと発展します。
人間はたった150年で地球をここまで汚してしまったのですね。地球の自然を元に戻すためには、人類が便利さを享受することだけを考えてプラスチックを生み出さないようにする努力が必要です。大変難しいことですが、、、。
引用・参考文献
1)https://www.npec.or.jp/umigomiportal/news/news202108052.html
2)https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/25/020500065/
3)https://iremono.sanplatec.co.jp/report/1485/
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