Column 320
2025/06/17 18:00
アルツハイマー型認知症患者の脳では、アミロイドβとよばれるタンパク質が適切に処理されず蓄積し、病態の進行に寄与していると考えられています。男性より女性の患者が多いものの、その理由については長く不明なままでした。
九州大学の溝上顕子准教授らのグループは、このアミロイドβの処理に男性ホルモンのテストステロンが与える影響に着目しました。その結果、テストステロンが脳内の免疫細胞であるミクログリアに作用し、オートファジーを活性化することでアミロイドβの蓄積を抑えていることを発見し、その成果が国際科学誌Advanced Sciense誌に2025年3月24日に掲載されました1)。
オートファジーとは、細胞が不要になったタンパク質や細胞内小器官、異常タンパク質などを分解して再利用する仕組みのことで、ミクログリアは脳内の免疫細胞として異常タンパク質(アミロイドβなど)を貪食し、除去する働きを持っています。
その除去機構のひとつであるオートファジーが低下すると、アルツハイマー型認知症の病態が悪化する可能性があると分かったのです。
アルツハイマー型認知症患者の脳組織において、女性では男性に比べてオートファジーの抑制がみられ、アミロイドβがより顕著に蓄積していることも確認されました。この研究の成果は、性別を考慮したアルツハイマー型認知症の予防・治療戦略の開発に将来つながることが期待されます。
ところで、認知症には軽度認知障害という前段階がありますが、この段階であれば14%から44%の方が認知機能を回復できる可能性があります2)。
現在できるその方法とは、
コロナ禍で制約の多かった生活習慣は認知症のリスクを高めました。これからは、運動・会話・睡眠を増やしましょう。
引用・参考文献
1)https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1237/
2)https://www.hosp.kobe-u.ac.jp/byosoumu/docs/bumon/ninchi02.pdf
©️ Nozaki Women's Clinic Allrights Reserved.
Designed by HARUNO design.