Column 317
2025/05/27 18:00
女性の更年期に伴う症状を治療するためのパッチ(貼り薬)の開発が、英国で進められています。
閉経前後の更年期には、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少するため、ほてり(hot flush)・発汗・不眠・乾燥・いらいら・無気力・抑うつ・性欲減退などの症状が起きます。そこで、不足するエストロゲンを補うのが通常のホルモン補充療法です。エストロゲン単独では子宮内膜がん(子宮体がん)のリスクが上がるため、黄体ホルモン(プロゲステロン)も併用します。
それに対して、開発中のパッチは皮膚を通じて男性ホルモンのテストステロンを吸収させ、更年期症状を改善することを目指したものです。テストステロンの分泌量は閉経後に急激に減少し、頭痛・性欲減退・集中力の低下・疲労感などの症状を引き起こします。
英・ワーウィック大学の化学者であるデービッド・ハドルトンが設立したMedherant社は、テストステロン・パッチの性欲向上効果を調べる臨床試験を数カ月以内に開始すると発表しました。試験が成功して承認されれば、女性が利用できる世界初のテストステロン補充製品になります。
既存のテストステロン補充製品はジェル・クリーム・注射などの形で提供されています。しかし、数十種類が認可されているアメリカにおいても女性用の製品はなく、多くの女性が男性用製品を適用外処方しており、適量の投与が難しいことなどが問題視されてきました。
性欲がなくなりパートナーに申し訳ない、エストロゲンを補充しても気分の落ち込みが改善しないという場合に、テストステロンの注射を1回だけ行うと劇的な効果がみられることはよくあります。
このテストステロン・パッチが製品化されて日本でも使えるような日が待たれます。
引用・参考文献
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