Column 304
2025/02/25 18:00
ステーキハウス症候群とは、肉などの塊をほとんど噛まずに急いで飲み込んでしまい、食道に詰まった状態を指します。1963年にアメリカで最初に報告され、ステーキをよく噛まずに飲み込んで食道に詰まった状態で、強い痛みをともなうことからこの名前がついたようです1)。
症状は、食後すぐ(15分後くらい)の前胸部のつまり感や嚥下障害、嘔吐、胸痛です。強い痛みのため、心筋梗塞や肺梗塞などの重篤な病気との鑑別が必要になることがあります。ステーキハウス症候群を引き起こす食べ物としては、ステーキやローストビーフといった肉類、ピーナッツやクルミなどの豆類、餅なども可能性があります。
ステーキハウス症候群は大量の食べ物が食道に詰まった状態です。食べ物が胃内に落ちれば症状は急速に改善するのですが、症状が続いたり悪化したりする場合には、食道に通過障害を起こす何らかの基礎疾患があると考えられます。
基礎疾患としては、食道がんで物理的に食道が狭窄している場合、食道静脈瘤を内視鏡で治療した後に起こる食道狭窄、潰瘍を伴う重い逆流性食道炎の治療後に生じる食道狭窄などがあります。また、食道の運動をつかさどる神経の障害や胸部を圧迫する衣服や器具が原因となることもあります。
食道に食べ物を詰まらせてステーキハウス症候群になってしまった場合は、水を少しずつ飲んで食べ物の塊を胃内に流し込むようにするのが第一です。これで改善しない場合はすぐに病院へ行くことが大切です。内視鏡で詰まった食べ物の塊を胃内に押し込むと症状はすぐに改善します。
ステーキハウス症候群の兆候が見られる場合に、一気に大量の水を飲んだり、追加の食べ物を摂取することは症状の悪化を招きます。とくにコーラなどの炭酸飲料を飲むと、食道が膨張して嘔吐を招いたり、最悪の場合には食道破裂を起こしかねませんので、絶対に飲んではいけません。
口いっぱいに頬張ったお肉はよく噛んで味わってから飲み込みましょう。
引用・参考文献
1)https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/steakhouse_syndrome/
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